ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

生物多様性、生態系、聖書からの教え

 井田徹治著『生物多様性とは何か』を読みました。
 第1章のはじめからショッキングな事例が出て来ます。インドのある国立公園で広く生息するベンガルハゲワシが、人間の営利的な活動により絶滅寸前になったという記事です。ハゲワシは動物の腐食した死骸などをきれいに処理するという点で、かけがえのない鳥なのですが、その死因が食べた動物の死体に含まれていたジクロフェナクという動物用の医薬品によるものだったという事が解明されました。この医薬品は人間の諸々の臓器にも副作用をもたらしていますが、獣医が家畜に投与したものが結局「仇」となってしまったわけです。
 するとどうなったでしょうか。多数の生物の死体が処理されずに残されますから、ネズミや野犬が急激に増加しました。その中から狂犬病ウイルスに感染した犬が人間や他の動物を噛んだり舐めたりします。それにより人間やそうした動物たちも感染し、ウイキペディアによりますと、発症後の人間の予後は極めて悪く、ほぼ100パーセントの死亡になるそうです。1997年のインドでは、この狂犬病による死者が3万人に達したと伊田氏は述べています。
 次はミツバチの大量死と受粉不可能となった貴重な植物の枯れ死。これはネットで参照しますと、なかなか大量死の原因が特定されませんが、やはり除草剤や殺虫剤などの農薬散布の影響があると思います。これもとにかく人為的であるに違いありません。
 このミツバチの受粉やハゲワシの死体処理など、生物や生態系が人間にもたらしてくれる「自然の恵み」を「生態系サービス」と呼ぶそうです。英文ではサービスという言葉が出て来て、どう訳したらよいのか困っていたので、伊田氏の説明で納得しました。
 伊田氏はこのサービスについて、相当なページを費やしています。そしてこの生態系の破壊から、「生物多様性」の損失を説き、絶滅種や絶滅危惧種を幾つか取り上げています。それから進んで生物多様性の豊かな特定の地域「ホットスポット」を、世界を歩き写真を撮りながら取材しています。それは世界の多くの特定地域に変わった様々な動植物が存在している事を私たちに教えてくれます。そして本の終わり近くで生物多様性損失を防ぐ各地域での試みを紹介しています。
 生物多様性や生態系という事を深く考えさせる本でした。
 ところで聖書ではどんな事が考えられるでしょうか。まず生物多様性ですが、創造主により「種類にしたがって」創造された動植物は、それこそ無限と言ってよいほどいたでしょう。しかし現在その多様性はそれぞれの特定の地域で見られますが、創造の時点では、全地が一様に温暖な気候であったと推定される事から、生物が特定の地に偏っていたとは考えられません。むしろそれはノアの洪水後、寒冷化した気候の下で各地に散らばって行った動物たちや、それに順応出来たり出来なったりする植物が出て来て、絶滅したり、生き残ったりで、世界にそれらの多様性が生まれたと思われます。
 また生態系ですが、創造のはじめで人間や動物が創造された時、その食べ物は果樹や植物でした。
 「ついで神は仰せられた。『見よ。わたしは、全地の上にあって、種を持つすべての草と、種を持って実を結ぶすべての木をあなたがたに与えた。それがあなたがたの食物となる。また、地のすべての獣、空のすべての鳥、地をはうすべてのもので、いのちの息のあるもののために、食物として、すべての緑の草を与える。』すると、そのようになった」(創世1:29−30)。
 そうしますと人間は主として果樹、動物は緑の草を食べたわけで、当然排泄があり、地中のバクテリアがそれを分解します。食べ残された植物も他の昆虫類が食べたかも知れません。すると減少した果樹や植物の為には、昆虫類による受粉が大いに行なわれた事でしょう。ですから創造のはじめから生態系というものは成り立っていたと推定されます。
 しかし人間が罪を犯して堕落した為、刑罰として土地は呪われ、雑草がはびこるようになります。それらは現在の「外来種」のように、良かった植物を駆逐してしまいます。そしてノアの洪水後、神は人間に対してはじめて動物を殺して食べる事を許可されました。また動物同士の殺し合いも始まりました。非常によかった生態系は今や崩れ去り、「食物連鎖」などの事象も生じるようになったのです。
 特に罪深い人間によるこうした動植物の破壊はその後も今日に至るまで続き、伊田氏が取り上げた悲惨な状況はこれからも深刻化して行くでしょう。
 「いつまで、この地は喪に服し、すべての畑の青草は枯れているのでしょうか。そこに住む者たちの悪のために、家畜も鳥も取り去られています…」(エレミヤ12:4)。