ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

NPO法人たらちねによる今中哲二氏の講演

 「しかし、わたしに聞き従う者は、安全に住まい、わざわいを恐れることもなく、安らかである」(箴言1:33)
 2018年3月3日認定NPO法人いわき放射能市民測定室主催の今中哲二講演会が、いわき市文化センターで行なわれました。

 今中氏は京都大学原子炉実験所で長らく調査・研究などを行ない、特に福島第一原発事故後は、福島県飯館村などで細かな放射能測定を続けて来ました。いわゆる熊取6人衆の一人として小出裕章氏らと共に原子力ムラの安全神話に異を唱えて来たので、大学での昇進はかなわず、助教の地位のまま退官しました。今はその原子炉研究所の研究員として在籍しています。
 私が部屋に入って間もなくすぐ今中氏と分かりました。講演が始まると、明晰で分かりやすく、福島の汚染の現状と被曝を語り、質疑応答でも質問者と問題点を分かち合い、「啓蒙」という言葉がぴったりの表現で、的確に答えていました。原子力の原理は私たち素人にはあまりにも難しいからです。
 今中氏によると、2011年3月15日大量のセシウムを含む放射能プルームが発生し、当時大熊町にあったオフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)の線量計が機能しなくなってしまいました。全員退避し情報が伝わらなくなり、その雲が南西のいわき市、茨城、東葛地域(柏、松戸など)を通り、東京都まで達しました。また風向きが変わり北西方向の飯館や福島市のほうにも流れ、広範囲に汚染が生じてしまいました。
 2011年3月末、正確な情報もない飯館村の長泥地区(今も帰還困難)に調査に行った今中氏は、自身が持っていた一時間あたり20マイクロシーベルトまでの線量計が振り切れた事にびっくり、どうも最低でも30μSv/hはある、15日は100μSv/hあっただろうと推測しています。ちなみに安全とされる一応の目安としての0.19μSv/h、自然放射線と合算して0.23μSv/h(=年間1ミリシーベルト)と比較してみて下さい。
 またいわき市はどうかと言いますと、3月15日以後の汚染調査が平など14箇所のモニタリングポストで実施されていました。21日の雨による二回目のプルーム雲の来襲と合わせ、スパイク状の線量増加が認められています。これは講演ではデータが示されませんでしたが、昨年2月26日の講演では示されています。31分43秒位に図があります(https://www.youtube.com/watch?v=QozEQDk3yS4&feature=youtu.be)。
 被ばく状況の不透明さを受けて、いわき市では市民放射能測定室が、2011年10月9日設立され、早くも翌11月には米・野菜・果物・飲料水など150件のデータを公表しています。その認定NPO法人たらちねのサイト(https://tarachineiwaki.org/radiation/result)では、2011年11月〜2018年2月までの各地のデータを掲げています。参考になるでしょう。設立趣意には「専門家と連携して事実の究明…に努めます」とあって、それから今中氏は2016年、たらちねからいわき市の初期被曝の検証を依頼されています。そして以後毎年講演を依頼されているようです。
 3月3日の講演からのメモと、そこから考えた事柄を幾つか挙げると、いわき市では放射能プルームの来襲で、ヨウ素131による甲状腺被曝は、飯館などと比べても高いという事、一般に食べ物と一緒にセシウム137を100ベクレル取り込んだ時の内部被曝量は、幼児も大人も約1マイクロシーベルトになる事(*厚生労働省基準の一般食品1キログラム当たり100ベクレル以下を参考)、今汚染水を海に流すかどうかで問題となっているトリチウムの場合除去は出来ず、内部被ばくで考えると、セシウム137より数倍健康影響は高く、汚染水はコンクリートで固め、原発敷地で300年間保管するのが良いという事(今中案)、日本のエネルギー需要の変遷の棒グラフから、2006〜17年までの夏の発電能力は、8月に需要のピークとなる最大電力よりかなり余っていて、普通の生活レベルでは原発は全く要らないという事などです。ブログを書きながらユーチューブを見ていたら、既にこの講演の全貌がhttps://www.youtube.com/watch?v=xIawC4aH_soで公開されていました。それを見て頂ければ全て分かります。
 最後に帰還困難区域の指定解除の基準年間20ミリシーベルトを考えてみる際、20ミリシーベルト以下、1ミリシーベルト以下、それぞれ安全・安心という事はなく、どこまでの被ばくを我慢するのか、一般的な答えはないけれども、長期目標として帰還後に個人が受ける追加被ばく線量が年間1mSv以下になるよう目指す事が必要で、汚染地域で暮らすには、余計な被ばくはしない方がいい、ある程度の被ばくは避けられないという相反する2つの事柄に、どう折り合いをつけるか、一人一人が良く考え、専門家が確かな情報を出し、自己判断するのが大切だという事を学びました。有益な講演会でしたし、これからも長年月にわたるたらちねの放射能測定結果を期待します。