ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

聖書翻訳語の変遷

 「あなたのみことばは、私の足のともしび、私の道の光です」(詩篇119:105)。
 聖書のみことばは、神の御霊が最初の筆記者たちに、一つの誤りもないよう指示し、書かせられた。
 その後は写本である。そして各国の言語に翻訳されると、聖書地と風習などが異なる為、微妙なずれが生じる。
 でもそれは翻訳者たちの大きな努力により、限りなく原典に近い形で忠実に翻訳されて来た。だからプロテスタントの大半が採択している新改訳2017のあとがきでも、「聖書は永遠の神のことばであって、あらゆる時代に対して常に新しい力をもって語り、救いのための知恵を人々に与えることのできるものである」と謳っている。
 2018年12月4日の東京新聞サイトには、「『重い皮膚病』訳語消える 聖書新訳 ハンセン病連想に配慮」という見出しの記事があった。
 この新訳とはカトリックプロテスタントが共同し、31年ぶりに新訳された聖書=聖書協会共同訳の事である。
 そこでヘブル語旧約聖書に出て来る言葉ツァラアトが、以前の「重い皮膚病」に代わり、「規定の病」となったそうである。しかし「規定の病」とは何だろう。むしろますます分からなくなってしまう印象がある。原語のままか、重い皮膚病のほうが分かりやすい。
 上記新改訳2017では、そのままツァラアトとカタカナ語で用いられている。訳注として「何らかの原因により、人体や物の表面が冒された状態」と記されている。このツァラアトは、確かに病状としてハンセン氏病(昔のらい病)に似てはいるが、違う皮膚病だろう。だいぶ前の新改訳は「らい病」と訳していた。ちなみに最も古い英訳の一つ欽定訳は、「leprosy」という言葉をそのまま使ったし、その影響は世界中の翻訳聖書に及んだ。それで最近の英訳聖書を10ほど調べてみたが、「重い皮膚病」に近い形で改定されている。いまだleprosyを採択している英訳もあるが。
 聖書には譬え話が多い。或る言葉が難しくて、別の分かりやすい言葉に譬えられている。ヘブル語は日本語ほど語彙が豊富でないから、余計そうである。それで私としては、日本語で分かりやすく、且つ差別語的なニュアンスのないものとしては、「重い皮膚病」が最適かと思う。
 病気に関しては、慎重な取り扱いが必要なのは間違いない。スーザン・ソンタグという思想家は、『隠喩としての病い』の中で、エイズや癌等々について、同じように言及している。
 例えば転移性の癌の場合、前の新改訳は「」と訳し、徐々に広がる様を描いている。しかし癌には癌もどき(*近藤誠氏の造語)と言って、広がらないものもある。
 それゆえ、新改訳2017では、その個所テモテ第二2:17には反映されて、「悪性の腫れもの」と訳し直された。
 人間が罪を犯し堕落して以来、この世に病気も現われて来た。元々病原菌は人創造の時、害のないものとして単独に存在していたか、人間と共生的な関係にあった。しかし堕落後は神の「スイッチ」により、菌は劣化してほぼ悪性のものになった。けれども神の目には、思い皮膚病だろうが、癌だろうが、エイズだろうが、全て同じである。常に「罪」との密接な関わりがあるのだから。