ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

河川のセシウム濃度減少

「だれが、きよい物を汚れた物から出せましょう。だれひとり、できません」(ヨブ14:4)。

 19年1月26日の福島民報に「河川のセシウム濃度減少」という記事があった。調査したのは日本原子力研究開発機構JAEA)である。

 ホームページを見ると、その経営理念として「原子力の未来を切り拓き、人類社会の福祉に貢献する」とあるから、原発に関しては推進派と言える。

 その機構の研究開発部門に、昨年8月24日間違って車を停めてしまった楢葉町廃炉国際共同研究センターがある。

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 今回の記事はその研究開発部門とは異なり、福島研究開発拠点-福島環境安全センターという所が、研究結果を発表した。過去3年間にわたり、浪江町の請戸川、南相馬市の大田川で河川水を採取し、測定を続けて来た。

 その結果セシウム137に関しては、その半減期は約30年とされているが、上記河川のその濃度を調べると、およそ 10 倍の速度で減少している事が分かったそうである。研究者たちは「陸上に沈着し た放射性セシウムが時間とともに地中に移動することによって、河川へ流出しにくくなっている ことを示唆し」たものと受け止めた。

 彼らは「今後も観測とその結果の解析を継続することで、福島の河川における放射性セシウムの移動の実態を明らかにするとともに、河川を利 用するにあたっての安全・安心に貢献できると考えてい」るそうである。

 その気持ち自体は、楢葉町を流れている木戸川の漁協の苦悩を見ても分かる。サケ漁が震災前から激減しているからだ。中長期にわたる地道な研究が必要なのは間違いない。この2つの河川の上流には帰還困難区域があり、確かに下流の住民が不安を覚えるのも尤もだからである。

 一方私は図書館から『土壌汚染』(中西友子著)を借りて読んでいた。2013年の本だから、データは古いかもしれない。でもネットを見ても、そうした研究が盛んに行われているような気配はない。

 これも本当に地道な研究だが、いかに汚染の実態を把握するのが困難かを教えてくれる。主として東大農学部の研究結果である。

 私は土壌の汚染の項で、郡山での調査結果について着目した。「時間の経過とともに土壌に付着した放射性セシウムはより強固に土壌に吸着し、雨水の量が多くなってもほとんど下方へ動かなくなった…土壌表層にとどまるようになった」。

 では森林はどうか。「上から降ってきた放射性物質が最初に付着した場所にとどまったことは樹木の枝の例を見れば分かる。高いところの枝のほうが汚染度が高く」とある。私が訪問した南相馬市鹿島区の友人の庭の木も、そんな感じで放置されていた。

 河川関係なら「福島の山から放射性セシウムはほとんど流出していない…落ち葉が分解されてもそこについていた放射性セシウムは土壌に移行するだけで流出していないことが考えられる」。河川の水が流入する溜め池の調査で、大雑把にそう結論出来るようである。「池底の土壌に放射性物質が吸着している」のだ。

 これらの研究結果はJAEAのそれを裏付けているように見える。

 でも中西氏は6年前の時点で、「放射能汚染に直面した私たちは、調査研究を進めるほど、放射線の人体への影響評価は非常に難しいということを認識させられ、いよいよ右往左往してしまうにすぎないのかもしれない」と自嘲的にその心中を吐露している。

 それほどに汚染の実態は深く沈潜し、分からなくなっている。JAEAは安易に安全・安心の方向に誘導しないで欲しい。