ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

福島原発1号機と2号機の間の排気塔、人力で一部切断

「働く者は労苦して何の益を得るだろうか」(伝道3:9)

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福島第一原発浪江町から見たところだが、排気塔はどこだろう。

3・11東電福島第一原発事故では、排気塔が高濃度放射性物質をたっぷり含んだ蒸気を放出した。当時ベントという言葉が行き交ったが、それは「原子炉圧力容器内の圧力が急上昇した際に、内部蒸気を放出すること」であった。

当時の規制委員会の試算では、セシウム137で70兆から5京ベクレルという、想像を絶する単位の放射能が放出されたという。

だからこの1号機と2号機の間にある高さ120メートルの排気塔も、内部はひどく汚染された。事故から5か月後の排気塔配管周辺の線量は、最大25シーベルト(朝日報道では10シーベルト超)、4年後の2015年でも2シーベルトあったそうだ。

迂闊に人は近づけない。人が死ぬレベルである。だから東電はロボットによる遠隔操作で、この排気塔を輪切りにし、高さを60メートルまでにする作業を、昨年8月から開始した。

ところが東電によると、解体装置の動作不良、台風の接近などで作業が中断、よく検討してみると、切断装置の不具合は直しようが無くなったという。そこで昨年12月はじめに、東電は何と人力で切断するという暴挙に出た。

なぜ暴挙か?東電発表によると、最初の遠隔操作による頂部ブロック解体作業では、その開始前の4月に測定したガンマ線量は、毎時0.07~0.08ミリシーベルトあった。9月遠隔操作で解体した後、その部材内部を測定しても線量は、毎時0.04ミリシーベルト(=毎時40マイクロシーベルト)だった。一応安全と言われる基準はセシウム137で、毎時0.23マイクロシーベルトだった事を思い出して欲しい。

12月人力作業時点では、排気塔周囲は毎時0.22ミリシーベルト(=毎時220マイクロシーベルト)あったという。そこへ作業員3人をクレーンで吊るし、頓挫した解体装置に移らせ、ディスクグラインダーで、1時間かけて切断させたとある。マスクと防護服だけで、容易に被ばくする。実際報道機関の推定でも、この作業時間で0.1ミリシーベルト(=100マイクロシーベルト)の被ばくは避けられないとあった。

人力が駄目だから遠隔操作でという事だったのに、その遠隔操作が駄目になったから人力で、というのは、本末転倒、生命の軽視もはなはだしい。

その後この3人はどうなったか、一切発表はない。

なんで焦る?時間がかかっても、この遠隔操作装置の改善を図り、あくまで人手無しに行うべきだったのに。それは東京五輪が迫っているからだ。もし作業を延期すると、さらなる地震津波、大型台風の来襲など、いつでも起こり得る自然災害が、実際起こったとすれば、作業途中のこの排気塔が倒壊し、1号機、2号機を直撃して大災害になる可能性があるからだ。五輪どころではなくなる。

今後の廃炉過程でも、作業員の不安は尽きない。昨年3月東電が実施したアンケートでも、それが如実に反映されている。