ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

毒蛇の咬傷治療の新方法は全世界の死亡者数を減らす事が出来る

 「死よ。おまえの勝利はどこにあるのか。死よ。おまえのとげはどこにあるのか」(コリント第一15:55)。
 とげと訳された言葉はヘビやサソリの針を指しています。
 
 2013年7月30日のサイエンスデイリサイトに、上記の題で論文の紹介がされていました。
 カリフォルニア科学アカデミーのマット・レビン博士率いる研究チームは、カリフォルニア大学サンフランシスコ校麻酔科と協力して、毒蛇の咬傷治療の新方法を開発しました。
 毎年毒蛇に噛まれて死ぬ人の数は、全世界で12万5千人ほどになります。インドでは25パーセントの人々が入院中に死にますが、それは75パーセントの人々が病院に到着する前に死亡していた事を意味します。
 ヘビ毒は一般にコブラ科の神経毒とクサリヘビ科の出血毒が大半ですが、研究チームはこのうちの神経毒との戦いに取り組みました。
 犠牲者たちはその蛇の神経毒で麻痺しており、呼吸器不全で死に至ります。詳しくは毒に含まれるアミノ酸数60〜74程度のポリペプチドの作用で「神経伝達を攪乱し、骨格筋を弛緩或いは収縮させ、活動を停止させる。横隔膜が麻痺することで呼吸困難に陥り絶命する」(ウイキペデイアより)とあります。神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を妨げる作用があります。
 従ってこの治療にはコリンエステラーゼ阻害剤という薬が使用され、神経末端のアセチルコリンの濃度を上昇させます。それは数十年にもわたり化学物質の引き起こす麻痺を覆す目的で、静脈内に投与されてきました。
 しかしそれでは急を要する野外での治療では間に合いません。そこでレビン博士らは新しい方法を考案しました。鼻からのコリンエステラーゼ阻害剤ネオスチグミン噴霧法です。左図がネオスチグミンの構造式。

 研究チームは健康なボランティアの人々に、ヘビ毒による麻痺と同じような効果のあるミバクリウムという薬を持続的に注入して調べました。ボランティアの人々はそれによって麻痺から呼吸困難に至りましたが、霧状微粒子ネオスチグミンを鼻から投与したところ、20分以内に完全に回復しました。
 そこでレビン博士は研究発表の時知った友人と共にインドに飛び、そこの或る病院でアマガサヘビに噛まれ、完全に麻痺状態であった患者に、このネオスチグミンを鼻から噴霧器で投与したところ、30分以内に麻痺がとれ、2週間で退院する事が出来ました。
 今レビン博士とその同僚たちはマウスを用いて追加実験を行い、鼻や目の粘膜からの薬の投与法を研究しています。この画期的な方法で、野外にて毒蛇に咬まれた人々の相当数が救われるものと予測されます。