ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

斉藤孝著『<貧乏のススメ>』を読む

 2012年11月3日のDANGO3兄弟さんのブログ(http://d.hatena.ne.jp/dango33/searchdiary?word=%2A%5B%C6%C9%BD%F1%5D)に、斉藤孝明大教授の「貧乏のススメ」が紹介されており、図書館で借りて読みました。

 斉藤教授は日本でトップの大学を卒業しており、私がその名を知ったのは、明大でまだ教授に昇格していない頃出た本がよくヒットして売れていたからです。しかしそれはいわゆるノウハウ本が主体で、あまり関心がなかったのです。
 しかし今度の斉藤教授の本の題が、およそ彼にふさわしくない感じがしたので、なぜ?と思いながら、DANGO3兄弟さんのブログを拝見していて、読む気になったのです。好奇心だけは人一倍持っているので。
 斉藤教授は東大法学部を出て、大学院では教育学を専攻した優秀な学者です。どうして官僚とか一流企業、そして母校の大学からすぐ呼ばれて就職出来なかったのか、熟読しましたが、いまだ良く分かりません。
 その代りここでは「癖のある」貧乏人を探し出して来て、その貧乏生活を紹介しながら、その人の貧乏経験の魅力みたいなものを紹介しています。
 それで最初に出て来たのが、有名な独学の世界的建築家安藤忠雄氏です。

 安藤氏は家庭の経済事情で大学に進む事が出来ませんでした。従って建築学を学ぶには、自分で本を読んで身に着けるしかありませんでした。斉藤教授の表現では「飢えた野獣のような感性」を持って、寸暇を惜しみレベルの高い本を読み続けました。この貪欲さが貧乏を力に変える達人に変えます。それが安藤氏でした。(*ただ今の時代貧富の格差が固定してしまい、貧乏な親の子が学ぶ意欲でさえ喪失している事例が多くあり、胸が痛みます)。
 次に登場したのが二宮金次郎でした。薪を背負って歩きながら『大学』『論語』の本を読み続けました。家に戻っても灯火の中、ひたすら読み、それらを全て暗記してしまいました。それで得た倫理観、様々な知恵を用いて、彼は農業振興策を行い有名になりました。(*後代国家に献身・奉公する国民の育成を狙う政治家たちに祭り上げられたようで、それは不幸な事でした)。

 斉藤教授はこの二人を要約して、「勉強にはお金も才能もいらない」と言っています。この勉強という地道な努力にお金が要らない事は、私も証出来ます。(*お金がなくて、才能が抜群の人もいます。そういう人はまず人生に悦楽を感じているでしょうし、勉強して得られた知識をひらけかす事もありません)。
 斉藤教授の本の第二章以下はだいたい貧乏を力に変える為のノウハウ集です。
 斉藤教授の実体験も織り込まれています。
 技1「貧乏を受け入れる」、技2「『ちょっとした貧乏性』で働き続ける」、技3「体験の石油化(*若い頃の体験が石油資源のように身体のどこかに埋蔵されているので、あと後で燃料となり、苦境を抜け出せます)。この項に湯浅誠氏の言う「溜め」とか、消費しない生活が身について来るとか、面白い記事が載っています。技4「一冊の本をバイブル化する」。上記安藤氏の「ル・コルビュジェの本」、二宮金次郎の『論議』のように、一冊の本を読むと、体験の深みに入り、一冊を十回読む事で人は変わるのです。ちなみに私の場合「聖書」ですし、メル友のiireiさんは『老子』です。技5「誇りをもってプライドを捨てろ」(*士族の商法が引用されています)、技6「貧しても鈍しない」(*ただ今の時代は貧していると、なかなか良い人間関係を構築出来ません。教会に通うとそれが出来るようになりますよ^o^)。技7『明日はわが身と心得る』、技8「人生を通してのベースをもつ」(*二年分の手帳を持ち、前年と比較するとか、趣味を培う)。技9「かわいがられる」(子ども心を持ちながら社会性を身に着けるとか、感情をコントロールするといった大切な事柄が記述されています)。技10「濃い仲間をもつ」。
 なかなか面白かったです。斉藤教授は『論語』に惚れ込み、『論語』を持ち歩きながら、訳し楽しんでいます。インターネットでは決して深く味わう事が出来ません。私もネット記事の場合、ただ閲覧するより出来るだけ印刷して繰り返し読むようにしています。
 「わたしは豊かにシオンの食物を祝福し、その貧しい者をパンで満ち足らせよう」(詩132:15)。
 主なる神は霊的にも物質的にも貧しい者を支え、満ち足りた生活を保障されます。
 「貧しくても、誠実に歩む者は、曲がったことを言う愚かな者にまさる」(箴言19:1)。