ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

米国のナチス発言、日本のナチス発言

 「舌は火であり、不義の世界です。舌は私たちの器官の一つですが、からだ全体を汚し、人生の車輪を焼き、そしてゲヘナの火によって焼かれます。どのような種類の獣も鳥も、はうものも海の生き物も、人類によって制せられるし、すでに制せられています。しかし、舌を制御することは、だれにもできません。それは少しもじっとしていない悪であり、死の毒に満ちています」(ヤコブ3:6,8)。
 2014年1月27日のブルームバーグサイトでは、トム・パーキンスという人の記事が載っていました。題は「トム・パーキンスの錯乱したナチス暴言」というものでした。
 彼はクライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズというベンチャー企業を創業した人で、米国ではIT系1パーセントの富裕層に属しています。
 ウオールストリートジャーナルに出した3行の手紙でパーキンス氏は、少数の富裕な人々に対して次第に高まる怒りが、ナチによるユダヤ人の迫害と類似している事を嘆きました。
 「私はファシストナチスドイツの『1パーセント』への戦い、即ちユダヤ人への戦いと、アメリカの1パーセント、即ち富裕な人々の間には、類似点がある事に注意を喚起したいのです」と彼は言いました。彼には占拠せよ!運動などを通し、99パーセントが1パーセントに対して厳しい非難をする事への苛立ちがあります。
 すかさずブルームバーグ編集部では、自分の問題をホロコーストになぞらえるのはいつも悪い考え方であり、これまで米国でそれへの類似を示す事は一度も起きていなかったのに、ここに来てパーキンス氏がそれを示したのは全く憂慮すべき事態で、編集部の強い抗議により、彼はブルームバーグテレビで謝罪しました。
 米国中産階級の賃金は沈滞しています。富裕な人と貧困な人との格差は拡大しており、世代内移動は止まり、所得の大きな分は、労働者より資本の所有者に増えています。今行うべき論議は、貧困者に対する平等な機会を創出する事、医療や失業給付といった問題への取り組み、富裕層に対する優遇税法の改正など多くあります。
 こうした動向に対して、パーキンス氏はナチスについての錯乱した暴言で炸裂させました。
 翻って日本ですが、同じナチスドイツ発言がありました。麻生太郎副総理です。「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」。さらに「時々お散歩日記 鈴木耕」氏のサイトから借りて付け足すと、麻生氏は「護憲と叫んで平和が来ると思ったら大間違いだ。改憲の目的は国家の安定と安寧。改憲は単なる手段だ…騒々しい中で決めてほしくない。落ち着いて、われわれを取り巻く環境は何なのか、状況をよく見た世論の上に憲法改正は成し遂げられるべきだ」と言ったそうです。
 米国でも日本でも、どうしてこうもあのホロコーストを行ったナチスドイツの事を、安易に引き合いに出すのでしょうか。

 企業家も政治家も禁忌となる問題を軽く比ゆ的に持ち出し、舌禍事件となっています。
 ナチスドイツが滅んでから、まだ70年が満ちていません。しかしあの暴虐は忘却のかなたに行こうとしているのでしょうか?
 *一度禁忌が解かれると、米国では近頃クリントン国務長官がロシアのプーチン大統領によるウクライナへの軍事行動を、「ナチスヒトラーみたいだ」と発言しました。それは当たっているでしょうが、比喩は慎重に使わないと、舌は禍になる事が多々あると思います。