イゼベルの押印ー考古学的発見
1964年に発見された押印(上のカラーの図、Science Dailyより)には文字が書かれていて(赤の下線部を除く)、ヘブル語でゼヴェル(英語のスペルで右からlbz、ヘブル語は右から左に書いてゆくので、通常の左から右の書き方ではzbl)と解読されました。
これは最初聖書の列王第一16:31に出て来るイゼベル(=イスラエルの王アハブの妻)の押印ではないかと言われていました。
しかしスペルが足りないので、考古学者たちはその真偽をずっと調べて来たそうです。
そして2007年の10月にその結果がサイエンス・デイリー誌に公表されたわけです。この押印はイスラエル博物館所蔵のものです。
ユトレヒト大学の旧約学者であるマリヨ・コルペル博士が詳細に調べて、上のカラーの図の欠けた部分には、おそらく私が下手なお絵描きで示したヘブル文字の、赤線で示した部分があった(右からアレフという文字とイョッドという文字)と断定しました。これは「イ」と読まれるもので、全てを繋げると、確かにイゼーヴェルとなり、イゼベルという邦訳の女王になります。アハブ王は紀元前874年〜853年頃王位にあった人でした。
聖書によればアハブ王は恐妻家で、妻イゼベルの尻の下に敷かれていたようです。妻はシドン人の王の娘とありますから、フェニキヤ地方出身で、イスラエルとは敵対関係にあったと思われます。ですからアハブがイゼベルを娶ったのは「罪」となりました。
今日でもクリスチャンはクリスチャンと結婚するのが原則です。コリント第二6:14「不信者と、つり合わぬくびきをいっしょにつけてはいけません」。ただ日本ではクリスチャン人口が極端に少ない上、女性の方が圧倒的に多いので、なかなかそのような理想的な結婚が難しいようです。
それはとにかく、旧約の権威が押印をイゼベルのものと断定した背景には、普通の庶民の押印よりもずっと大きなものだった事が挙げられています。彼女は最初夫の押印を借用していたのでしょう。「彼女はアハブの名で手紙を書き、彼の印で封印し…」(列王第一21:8)。
しかしその後高慢になって自分の押印を作ったのでしょう。これは主である神の御目にははなはだ悪く映りました。罪の結果が死であり、彼女の場合は陰惨なものとなり、王宮の高みより突き落とされて放置された為、犬が彼女の肉を食らいました。
こうした聖書の紀元前9世紀の歴史が、考古学的発見によって裏付けられているのは喜ばしい事です。