ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

中村哲アフガンからモノ申す

 中村哲さんはもう26年ほどアフガニスタンペシャワールで、貧困者の治療と、村々の井戸や水路を掘って住民の益の為に汗を流しています。『医者井戸を掘る』などの著作もあり、良く知られた人です。
 解剖学者の養老孟司氏が『ニッポンを解剖する』という本の中で、中村医師にインタヴューしています。
 アフガニスタンは現在も政情不安の状態が続いており、都市ではゲリラ活動も盛んのようです。しかし中村医師は主として農村において、現地の人々と接触し、彼らの病を治し、干ばつに備えて多くの井戸や水路を掘っています。その勇気には敬服せざるを得ません。
 その中村医師と養老氏との対談の中で、中村医師は日本を含む先進諸国がアフガニスタンの現状を全く理解していないと嘆いています。
 例えばその国の教育が遅れている、何とかしなくてはと言いますが、ちゃんとモスクで必要な教育はやっているのです。
 またトイレがなくてはなはだ不衛生だから、たくさんトイレを作ろうとかしますが、昔の日本と同じで、便は立派な肥料になるのです。しっかり管理しておけば、疫病が蔓延する事など考えられません。
 それなのに先進国の不勉強な人々は、アフガンの子どもたちが飢えていてパンを欲しているのに、教育第一とか言って鉛筆を配ったりするバカな事をしている、水の確保が先決なのに、トイレ作りに励もうとする、ホント余計なおせっかいばかりしていて、一番必要な事に手を差し伸べないと、中村医師は本気で怒っています。全くその通りです。
 その記事を見てすぐ思い出す聖書箇所があります。イエス・キリストによる山上の説教の最後部分です。
 「あなたがたも、自分の子がパンを下さいと言うときに、だれが石を与えるでしょう。また、子が魚を下さいと言うのに、だれが蛇を与えるでしょう」(マタイ7:9−10)。
 これはイエス・キリストが簡単な例として示された事ですが、主旨は天の父なる神が、弟子たちが本当に祈り求めている必要に対して、どうして良い物を与えないという事があるでしょうかという事です。
 その通りです。子がパンを欲しているのに石を与える事、それが先進国の無知な人々がやろうとしている事です。子が魚を欲しているのに、食べられもしない蛇を差し伸べる事、それが先進国の傲慢な人々がやろうとしている事です。
 これでは格差はいつまでも縮まる事がありません。そういう善人ぶった人々、特に米国のIMF関係や世界銀行の連中を、イエス・キリストは「偽善者」として非難しておられます。
 私たちもよほど気をつけていないと、貧困者が本当に必要としているモノを見落としてしまう事になります。中村医師は良い教訓を私たちに与えてくれました。