ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

畑村洋太郎氏の『危険不可視社会』と聖書例

 これまでしばしば畑村氏の失敗学関係の本を読んで来ました。今度の本を読んでも、こんな予測し得ないような事が起こり得るのかという事を、いたく思い知らされました。
 その第四章は「人も凶器」という題で、人間が凶器と化す例が載っています。
 その中で最初に出て来るのが「群衆雪崩」という現象です。将棋倒しが一平方メートルあたりの人口密度三、四人程度であるのに対して、この群衆雪崩では、一平方メートルあたりの人口密度が十人以上という違いがあります。
 その被害の最大のものは、1956年1月に新潟弥彦神社で生じました。勿論場所と1月という事から初詣の人々の集まっていた中で起きた事件です。群衆雪崩が生じる条件は、「たくさんの人が集まり、争うように同じ方向へ行こうとしている」事です。
 事件は拝殿前の石段で生じ、人々が折り重なるようにして倒れ、124人という多くの人々が死亡しました。
 それを畑村氏は詳細に再検討しています。群衆が多いと人と人とのぶつかり合いで圧力が生じ、何かの拍子で「崩壊空隙」という隙間が生じた時、そこへ人々が集中的に倒されてしまい、亡くなるという事だそうです。
 その時折り重なった人々の重みにより、下で押し潰されている人は、肋骨が強く推されて呼吸不全になり、死亡してしまいました。この教訓は勿論「最初から人混みに近づかない」という事です。
 また満員電車も気をつけないといけません。車内は身動き出来ない状態ですが、この時人々の発する熱で温度が急上昇します。これは冬場で私も経験しています。外は凄く寒いのに、電車内では汗びっしょりになります。それによって身体の弱い人々がばたばた倒れるという事が起こり得るそうです。たぶん鉄道会社でもその時クーラーを回しているのでしょうが、全く追いつかないような感じがします。
 そうした人が密集している場所での事故と多くの人々の死亡例は、聖書にもあります。士師記16:23−30に出て来ます。怪力サムソンとデリラで有名な箇所ですが、その力の源泉を奪われたサムソンは、ペリシテ人の捕虜となります。
 ある日その偶像の神が祭られている宮で盛大ないけにえの集会が持たれました。そこへサムソンも引き出されます。ペリシテ人の見世物にする為です。それで宮は超満員、屋上だけでも3000人の男女が見学していますから、たぶん全体で6000人はいた事でしょう。
 そこでサムソンは「自爆テロ」のような形で、主に新たな力を求めました。そして宮を支えている柱を力一杯曲げて崩壊させました。それで屋上にいた人々も下にいた人々も皆死亡したとあります。おそらく屋上の人々は落下の衝撃で、下にいた人々は「群衆雪崩」+宮の天井の過重で亡くなったのでしょう。サムソンは復讐を果たしました。
 一般に日本人は何かのイベントで殺到し、押し合いへし合いする機会が多いようです。その時危険は「不可視」ですから十分気をつけ、出来るだけ避けるようにするのが懸命です。