ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

中川恵一氏の『がんのひみつ』を読む

 中川恵一氏は東大医学部放射線科准教授で、いつも私たちにわかりやすくがんの事を説明してくれます。
 この『がんのひみつ』は借りた時、少々面食らいました。本が小さいのです。幼い子に読み聞かせる本のようです。朝日出版社も面白い企画をしたようです。
 しかし手にとって読みやすく、書かれている内容は実に理路整然としていて、しかも容易に大人が理解出来る内容です。
 がん関係の書物は多くありますが、この本には私たちが日頃知らないような内容の事がいっぱい書かれています。
 中川先生は冒頭で幾つか質問をしていますが、特に最近目立つ「緩和ケア」の事を知らない人が72パーセントもいると聞いて、へ〜と思いました。そうした処置をする「緩和ケア病棟」のルポなども多くあるのにです。ちなみに岩波新書で出ている『がん緩和ケア最前線』という本は、癌研有明病院を取材した優れたものでお勧めです。私の友人も食道癌でそこに入って亡くなったのですが、奥様の話では最期まで良いケアをしてくれたとの事でした。
 そのがんですが、日本は世界一の長寿国で、長生きしている人はそれだけ多くの細胞分裂を繰り返します。そして「細胞の設計図であるDNAに、徐々にキズがついたために生まれる異常な細胞」ががんであり、それが大きくなり検査で判明するまでに、およそ10〜20年はかかるとの事ですから、「長く生きなければがんを作るいとまがないのです」。そして人間の持つDNAは一人一人異なりますから、「1つとして同じがんは存在しないのです」。お年寄りのがん対処は一人一人違って来るという事になります。誰かがあの治療法で、あの薬で治ったから、自分もそうすればというわけには行きません。ですからあわてふためいて、バタバタしてしまいます。
 かくて日本は「世界一のがん大国になりました」。中川先生は長生きの男性の2人に1人が、女性の3人に1人ががんにかかると推定しています。そしてかかった人の3分の1が死亡しています。
 ところがです。日本人はこの冷厳な事実をほとんど知らない、と中川先生は言われます。その背景には日本人が「永遠に生きる」錯覚に陥っているからではないか、と推測しています。日本人は「がんが治っても人はかならず死にます。人間の死亡率は100%なのです」という事実を直視せず、死なない感覚をいつまでも持ち続けているというのです。
 聖書には「飲めよ。食らえよ。どうせ、あすは死ぬのだから」(イザヤ22:13)という聖句があります。これは聖書の人々が死を自覚していた事を示しています。
 でも宗教心の薄い日本人なら、「飲めよ。食らえよ。あすもあるのだから」という気持ちらしいのです。がん末期の臨床に携わっている中川先生の、鋭くも慨嘆すべき意見です。
 しかし聖書の主は「永久に死を滅ぼされる」(イザヤ25:8)と言っておられます。永久に死なないと思っている日本人なら飛びつきそうなみことばです。
 そして有名なヨハネ3:16があります。「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである」。
 これこそ永遠に死なない為の絶対条件です。死に怯える日本人が立ち返って、この永遠のいのちを賜物として与えて下さる救い主イエス・キリストを信じた時、初めて永遠に生きる事になります。人間の肉体の死亡率が100%なら、神のみことばの成就率も100%です。
 今から後この信仰を持って、長寿をがんで全うし死んで行く人は幸いです!