ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

畑村洋太郎著『失敗学実践講義』を読む

このブログの5月28日にも畑村氏の本を取り上げて書いた事があります。今回の新たな文庫本も畑村氏の歯切れのよい失敗事故の分析で、一気に読めてしまいます。
 今回は第四講「ゼロからつくり直すことの大切さ(金融システムの失敗)」から、特に学ぶべき事がありました。
 そこで2002年4月に起きた第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の三行が合併して新たに誕生した「みずほ銀行」のコンピュータ・システムの大規模な障害が取り上げられていました。それにより公共料金引き落とし、企業への振込みなどで極めて大きなトラブルが発生し、1ヶ月にわたり大混乱が生じたのです。
 その失敗を畑村氏は次のように分析しています。
 三行はそれぞれ違うシステムで業務が行われていたわけですが、いざ合併という時に三つのシステムをうまくつなげば、ちゃんと運用できるという甘い判断を経営陣がしていた事が大きな失敗のもとだったというわけです。それがうまく行けば、勿論コストの削減も大幅に出来るからです。
 しかしこの三行のシステムは中身も手法も全く違っていたので、日立等の取引会社は大事な問題を見落とす可能性があると、あらかじめ警告していたそうですが、銀行経営者側の無視により、起こるべくして起こった事故だったそうです。畑村氏は「愚の骨頂」と評しています。
 そして畑村氏はトラブルの根本的原因が「付加設計」にあったと断言しています。それは氏の説明によりますと、「条件などが変化して新たな要求が生じた際、設計全体を一から見直すのではなく、小出しに新たな機能を付け足していくことで対処する方法」です。
 しかし状況が大きく変化したときには、「全くゼロから全体を組み立て直すしかない」のが、システム設計の鉄則となります。それを氏は「トータル設計」と言っています。
 古いものを全て捨てて新たに事を行うのは大変そうに見えますが、制約がないので、全く新しいものを作り出せるのです。逆に全く新しいものを作り出すためには、前のものは一切引き継がないというくらいの覚悟が必要だという事です。そうでないと以前は使っていたけれども、今は必要ないデータが悪さをする可能性が出て来るそうです。
 それと同じような事を畑村氏に先立って言われたのが、全知の神イエス・キリストです。
 「また、人は新しいぶどう酒を古い皮袋に入れるようなことはしません。そんなことをすれば、皮袋は裂けて、ぶどう酒が流れ出てしまい、皮袋もだめになってしまいます。新しいぶどう酒を新しい皮袋に入れれば、両方とも保ちます」(マタイ9:17)。
 古いものに新しいものを継ぎ足して行っても、それは失敗します。勢いの良い新しいぶどう酒はその発酵力の強さで、古いキズのある皮袋を裂いてしまうからです。新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れてこそ、安全に保たれるわけです。この場合古い皮袋は古い伝統的なユダヤ教の教えであり、新しい皮袋は主イエス・キリストの斬新な教えです。人は古い宗教の土台に立ち、新たに得た信仰を行使してもうまく行かず、キリストの教え=キリスト教の土台の上に立ってその信仰を働かせればうまく行きます。古い考え方を引き継がず、ゼロからの全く新しい心こそ必要で、それは天から与えられます。