ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

遺伝子と偽遺伝子の協調的な働きの画期的な発見と創造論者たちの予見

 ネイチャー誌6月24日の電子版では(http://www.nature.com/nature/journal/v465/n7301/pdf/nature09144.pdf)、「遺伝子・偽遺伝子mRNAのコード化とは無関係な機能が、生物の腫瘍を制御している」という題の論文を載せています。コード化するという言葉は難しく、今まで読んだ範囲では武村政春氏の『生命のセントラルドグマ』にある「規定する」という訳が、一般の人々には分かりやすいと思います。上記の題で言えば、「アミノ酸の規定」とでも言えば良いでしょうか。
 私はこの雑誌を閲覧出来ないので、「進化」誌のニュースでの紹介と、ICR(創造研究所)のブライアン・トーマス氏のコメントから少し考えてみたいと思います。
 まずネイチャーの冒頭要約部分で、「メッセンジャーRNA(mRNA)の標準的な役割は、蛋白質を規定する情報をその合成の場(*リボソーム)まで配達する事である」と書かれています。しかしここにマイクロRNAというものが存在し(長さ20〜25塩基ほどのRNA)、ウイキペディアによると「他の遺伝子の発現を調節する機能を有すると考えられているncRNA(ノンコーディングRNA:タンパク質への翻訳はされない)の一種である」と定義されています。
 そこで研究者たちはマイクロRNA結合を競う能力を持つ制御的役割があるRNAを仮定しています。そしてPTEN腫瘍抑制遺伝子と、その偽遺伝子PTENP1に着目した研究を続けました。するとPTENP1には生物学的な活性があり、PTENの細胞での諸段階を制御し、成長を抑制する役割を果たしていることが分かりました。また人のガンではそのPTENP1の遺伝子座が選択的に失われている事も示されています。さらに腫瘍遺伝子KRASとその偽遺伝子KRAS1Pとの関連の分析結果も示されています。そうした発見は偽遺伝子が新しい生物学的役割を持ち、アミノ酸規定の遺伝子発現を制御出来る事と、メッセンジャーRNAにアミノ酸規定をしない機能がある事を示しています。
 話が長くなるのでここでICRのブライアン・トーマス氏に創造論の立場からその意義を解読してもらうことにします。
 それによりますと、偽遺伝子は遺伝子と大変良く似ていながら、違いも十分あるので、アミノ酸を規定して蛋白質合成の為には使う事が出来ません。そこでこれまで研究者たちは、偽遺伝子は長い進化の過程で、遺伝子のミスから無用なものとなったと考えていました。しかし偽遺伝子が対応する遺伝子制御に一役買っていたとしたら、それは目的があってデザインされたものと考えられます。
 最後にトーマス氏は遺伝子も遺伝子のないDNA(ジャンクDNA)も創造主によって生み出されたものであるからには、偽遺伝子も細胞で重要な制御の役割を果たしている事が、既に2003年の段階で創造論科学者たちにより予見されており、今回の研究結果はそれが正しい事をさらに示していると強調しています。それは画期的成果と言えるでしょう。
 *ネイチャーの上記要約部分の翻訳はhttp://cancerbiology.blogspot.com/2010/06/2ptenkras.htmlでされています。