ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

アホを自認する筒井康隆氏による「ペンは剣より強い」の背景解説

 図書館で筒井康隆著『アホの壁』を借りて読みました。アホという言葉のニュアンスは関西では独特なものがあって、標準語しか話せない私は、大阪時代一度も使った記憶がありません。ちなみに聖書では新改訳ではモロスというギリシャ語を「ばか者」と訳していますが、「アホ」としても良いわけです。
 それはとにかくこの本の中で筒井氏は、昔からよく知られている「ペンは剣より強い」という言葉が、元々の意味から離れて誤まり伝えられている事を指摘していました。
 それは私としても新知見で早速調べて見ました。ローマ・カトリック枢機卿教皇に次ぐ高位聖職者)リシュリューは、フランスで1585〜1642年まで生きた人ですが、この聖職と共に政治家としても活躍しました。といっても彼は枢機卿であるにもかかわらず、政治では権力を揮い、敵対者たちを容赦なく弾圧したとあります。こうした背景の下で生まれたのが、「ペンは剣より強い」という言葉でしたから、筒井氏は「アホの壁」の中で、「権力の下ではペンは剣より強い」と補足し、さらにリシュリューは「国家に反旗を翻し、反乱を企む輩に対して、いつでも逮捕状や死刑執行命令にペンでサインできるのだぞと脅したのである」と解説しています。
 私がメモしたこの唯一の箇所は、他の諸氏も目に留めておられ、ヤフーのブログのわらべさん(http://blogs.yahoo.co.jp/warabe401/59435475.html)や、小飼弾氏も(http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51430783.html)この箇所を取り上げています。本来の意味を離れて一人歩きしてしまったこの言葉の背景を再認識されたからでしょう。私も同様です。ペン(言葉の威力)は時に剣(戦争)より効果がある事例を実際見て来ているからです。
 最近米国で話題になっているアフガン戦争の機密を暴露したウイキリークスのジュリアン・アサンジュ氏の発言も、米当局は打ち消しに躍起になっていますが、波紋はどんどん広がっており、戦争撤退を早める力になるかも知れません。
 その意味では、筒井氏のようにこの有名な言葉の背景を知らなくても、それは一般に解釈されている意味合いで、今後も用いてよいのではないかと思います。 では聖書ではどうでしょうか。
 「神のことばは生きていて、力があり、両刃の剣よりも鋭く、たましいと霊、関節と骨髄の分かれ目さえも刺し通し、心のいろいろな考えやはかりごとを判別することができます」(ヘブル4:12)。
 ここでは神のみことばこそ力あるものであり、剣の比ではない事が述べられています。人間のペンから出たことばは確かに力の限界がありますが、神のみことばは全能です。そのみことばの前ではどんなに武装した敵の軍隊でも一瞬のうちに焼き殺されてしまいます。
 また主イエス・キリストも「剣を取る者はみな剣で滅びます」(マタイ26:52)と言われました。また「この天地は滅び去ります。しかし、わたしのことばは決して滅びることがありません」(マタイ24:35)とも言われました。主の全能なるみことばの力は、塵芥に過ぎない人間の武器など遥かに凌駕し、永遠に残るのです。