ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

WHOによるH1N1インフルエンザ終息宣言とプロス・パソジェン誌論文との整合性は?

 8月6日の朝日に載った「アミノ酸が1ヶ所変わっただけで…新型インフル大流行 東大教授ら解明」という題の論文要約と、原文のプロス・パソジェン誌に載った長い論文を見比べながら、前者の要約の仕方はちょっと違うのではないかと思い、後者の英文と格闘している最中、8月11日の朝日はWHOによる新型インフルの終息を短い記事で紹介していました。
 プロス・パソジェン誌の論文は、東京大学医科学研究所の河岡教授らが関わっていますが、そのサイトを見ても分かる通り、教授らは朝日の要約にある、昨年パンデミックとなった豚由来の新型インフルエンザ(H1N1)だけを追跡していたのではありません。1997年以降アジアで大流行し、致死率60パーセントを越えた鳥由来の新型インフルエンザ(H5N1)ウイルスの解析を出発点にして、双方の関わりを解明したのが今回の論文で、その中にH5N1は頻繁に登場しています。それが朝日の要約に欠けています。
 河岡教授らはこのH5N1インフルエンザウイルスのPB2蛋白質というものに着目し、その構成要素であるアミノ酸のある627、701番目の座と、591番目のアミノ酸の突然変異を調べました。このPB2蛋白質は、パンデミックになったH1N1ウイルスにも存在しています。その遺伝子はPB2−627K、PB2−701Nという「ヒト型の」アミノ酸をコード化(暗号化)していません。しかしPB2の591番目にある基本的なアミノ酸は、PB2−627Kが欠けていても、それを埋め合わせる能力があり、哺乳類(調べたのはヒト、マウス、フェレット、テンジクネズミなど)において、高い病原性のあるH5N1とパンデミックなH1N1ウイルスの複製を効率的に出来る、というのが、この論文著者たちの要約になっています。ですから朝日の要約はちょっと頂けないというのが私の感想です。
 さらに詳しく見ると、627番目の座には鳥インフルではグルタミン酸がほぼ占めていますが、ヒトインフルではこのパンデミックなH1N1ウイルスを除き、ほぼリジンが占めています。一方ほとんどの鳥インフルでは、701番目の座はアスパラギン酸アスパラギンに代わっています。
 でもヒトから分離したH1N1インフルには、こうしたアミノ酸が欠けています。上記の通りです。しかし591番目を通常占めているグルタミンのリジンへの置換が、哺乳類のH5N1インフルエンザウイルスを効率的に複製します。それに対してH1N1ウイルスの591番目のアルギニンへの置換は、そのウイルス増殖を効率的に行います。
 なんかややこしくなりましたが、かぎとなるのはインフルエンザウイルスのPB2蛋白質の591番目を占めるアミノ酸の置換のみです。
 今後この箇所の変異がまたまたパンデミックで且つ致死性のある亜型ウイルス大流行に繋がる危険性が大であると言えるのではないでしょうか。東大医科研のサイトでは、その事態になる事を危惧しています。
 そこにWHOのH1N1インフルの終息宣言がされても、何となくホントかなというのが私たち素人の疑いです。
 聖書では今後もこうした疫病が頻繁に起こる事を預言しています。
 「大地震があり、方々に疫病やききんが起こり、恐ろしいことや天からのすさまじい前兆が現われます」(ルカ21:11)。
 私たちの備えやいかに…?