ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

堤未果『アメリカから<自由>が消える』を読んで思った事

 堤さんの手堅いルポは好きで、本が出されるごとに購入したり、図書館で借りて読んで来ました。
 ところが上記の本、発行は扶桑社ですが、新聞でたった一度だけ広告が出たきり、後は全然続きませんでした。本離れが言われて久しいですが、それでも書店に本は溢れています。新書は手頃で良く売れていると思われるのに、この本は沈黙のままです。私が図書館で借りようと予約したら、いつのまにか解除になっていました。半年以上経過してから再度検索して予約が入っていなかったので、やっと借りる事が出来ました。初版第一刷のものです。何だか不思議な感じです。 堤さんはかの米国9・11事件を身近に体験した人ですが、それ以後の米国の異常な雰囲気を感じ取り、その理由を考えながらこの本を出したのだとおもいます。しかしその当時から、米国の友人たちは彼女に対して「気をつけて…」との忠告を与えていました。
 そうした折ウイキリークスが第三弾として米国外交文書(極秘資料を多く含む)の一部を公開し、その中に麻生元首相の訪中時の発言も情報収集されていた事が分かりました。堤さんが書いているように、米国CIAなどは現在もテロリスト対策と称して、世界中の要注意人物たちの情報収集に熱を入れているようです。時折堕落した米国の批判をする私のブログも、もしかしたら危険情報として、私自身の名前がブラックリストに載っているかも知れません。それを思うとぞっとしました。おそらく堤さんが「過激な米国批判」を縦横に論じたこの本にも、何らかの圧力がかけられたのではないかと勘ぐってしまいます。
 とにかくこの本を読めば、9・11以後の米国が全く様変わりし、言論の自由を始めとするあらゆる自由が米国から剥奪されて来ている事が良く分かります。 堤さんはテロとの戦いで昔の例を幾つか引き合いに出していますが、その中に一つショッキングなものが出ていました。数年前米国を訪れテキサス旅行をした時に立ち寄った「アラモの砦」についての真実です。1835年メキシコ領だったテキサスに移住した米国人たちは独立運動を起こしましたが、圧倒的な軍事力を誇るメキシコ軍によりアラモ砦に追い詰められました。彼らは合衆国に援助を求めたのですが、何とそれは無視され、メキシコ軍が彼らを皆殺しにするまで待ってから、惨殺された彼らの事を大々的に宣伝、世論を煽って宣戦布告し、メキシコ軍を大敗させたのです。そんな事実はそこを訪れた時露だに知りませんでした。まただいたいそうだろうと思っていた1941年の日本による真珠湾攻撃も同じような手口が使われたようです。それを黙過した後世論を煽り、太平洋戦争で日本を敗北させたというわけです。その手法は現在のイラクやアフガンでも使われたのではないかと思い、米国に対する恐ろしさを身に染みて感じました。
 堤さんのルポは年を追ってひどくなる米国の諜報活動を丹念に辿っていますが、そこにはかつてキリスト教大国だった米国の大きな背反が示されています。即ち教会の迫害です。「平和を作り出す」(マタイ5:9)任務を与えられた教会が現在はターゲットにされ、大きな精神的圧力が掛けられているそうで、牧師も信徒も今や完全に萎縮してしまっているように見えます。そうした報道が日本に入って来ないのも、「報道規制」の為でしょう。
 こうしてこの本を読み終えた時、私はもはや米国が無神論的な戦いを作り出す狂気の集団化してしまったのではないかと思いました。創造論のサイトでも言っていますが、人々がどんどん教会から去っています。
 この神を畏れぬ未信徒が増大するこの国のリーダーたちには、堤さんのルポ通り、底知れぬ恐怖を感じました。