ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

松井孝典著『恐竜絶滅のメッセージ』シナリオの欠陥

 著名な惑星物理学者松井孝典氏の『恐竜絶滅のメッセージ』を図書館で借りて読みました。1997年初版のものです。それから14年近く経過し、現在も多くの研究者たちが取り組み、必ずしも松井氏の見解と一致していません。
 松井氏はメキシコのユカタン半島にあるチクチュルブ・クレーターと呼ばれる巨大隕石衝突孔と見られるものを実地踏査し、それが地質学では今からおよそ6500万年前の白亜紀から第三紀にかけての境界層(K−T境界層)に属するものであり、その時恐竜の絶滅がもたらされた事を様々な角度から検証しています。最初の論文は1980年米国の地質学者ルイス・アルバレスらにより、科学雑誌サイエンスに発表されています。松井氏はその論文の卓越さや弱点を見据えて、自ら現地に出向き発見した新事実などで補完しています。また研究室で隕石衝突に関わるシミュレーションも行なっています。
 このチクチュルブ・クレーターが本当に隕石の衝突で生じたものであるとすれば、この著作は相当論理的で反論の余地もなさそうに見えます。読み終えた人はそうかそうだったのかと感嘆する筈です。
 しかし創造論者たちは全く別の考え方をしています。つまり恐竜の絶滅は創世記にあるノアの洪水によるものです。しかし松井氏らの説を取り込み、その洪水の時期に隕石衝突もあり得たとは言っています(少なくもコンゴのクレーター→http://www.answersingenesis.org/articles/2010/03/13/news-to-note-03132010)。
 また松井氏の取り上げているK−T境界に於けるイリジウムの異常現象、プラチナの存在、衝撃変成石英、ススなどについても、また恐竜が隕石衝突による熱放射で瞬時に死滅したといった点についても、創造論のサイトでは、逐一反論しています(例えばhttp://www.answersingenesis.org/tj/v11/i2/dinosaur.asp)。創造論者たちは上記のイリジウム、プラチナ、ススなどを含め、火山爆発説を積極的に主張しているようです。
 何より松井氏の著作では、恐竜化石の事がほとんど触れられていません。例えば太陽光が遮られ、植物が育たずそれを食餌にしていた恐竜が「餓死する」と言っていますが、餓死して化石になりえるはずがありません。腐食し地上から消えてしまうからです。緻密な松井氏にしては、そのあたりが弱点です。
 いずれにせよ「こうして地の上を動いていたすべての肉なるものは、鳥も家畜も獣も地に群生するすべてのものも、またすべての人も死に絶えた」(創世7:21)との聖書の記述と、実際そうした動植物の化石が存在する事は、化石化の条件を満たすノアの洪水でしか生じ得ないと断定してよさそうです。