ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

東日本大震災その3

 2011年3月23日の朝日夕刊には、チリ地震の巨大津波を経験し、その教訓を生かして助かった、宮城県南三陸町の須藤信雄さんと妻寿美子さん夫妻の事が記されていました。
 須藤さんは1960年のチリ地震による津波で、母親ら5人を失ったそうです。ですからその怖さを知り、しっかりと心に銘記していました。
 今回の大震災は、ちょうど大工仕事に行く前、自宅に居る時襲って来ました。その巨大さから必ず大津波が来ると直感した須藤さんは、妻寿美子さんに逃げるぞと伝えました。
 ところが寿美子さんは持病があり、医者から薬を処方されていたのでそれが必要でした。さらに家が破壊された時の事を思い、その権利書なども捜しましたが、なかなか見つかりません。ですから躊躇してなかなか家から出ようとしませんでした。でも権利書などはいのちより大切なものではありません。
 そこで信雄さんは「何も要らない。とにかく逃げろ!」と怒鳴りつけ、自宅の車に寿美子さんを無理やり押し込んで、高台にあるいとこの所まで飛ばして行きました。それから10分も経過しないうちに、大津波がやって来て、須藤さん宅を飲み込んでしまったのです。
 新聞には地震が収まってから自宅を見に来て、その基礎部分だけが残ったのを指さしている信雄さんの写真が載っていました。
 翻って私たちも災いを目の当たりにしない限り、いのちの次に大切な財産等を捜して、ぐずぐずしてしまう愚かな者です。決して寿美子さんの行動を「愚か」と決め付ける事は出来ないでしょう。
 そうした例が聖書に載っています。創世19に出て来るロトとその妻、婿たちのとった行動です。
 ロトはソドムの町に住んでいました。このソドムから英語のソドマイト=男色者という言葉が生まれています。そのようにソドムの町は神が定められた神聖な男女の結婚の掟を無視し、男同士でセックスを行なっている割合の高い邪悪な町でした。そこで神はその町を滅ぼそうとされました(ここは東京都知事石原慎太郎の「天罰」発言と結び付けないように。また町を仙台に適用しないように)。
 神の御使いはロトと身内の者たちに早く逃げるよう警告しました。
 しかし婿たちにはそれは「冗談のように思われ」無視されました。そこで迫って来た硫黄の火に飲み込まれてしまいました。
 彼の妻はどうだったでしょうか。御使いが「うしろを振り返ってはいけない」と警告したにもかかわらず、たぶん家に残して来た財産などが気にかかっていたのでしょう。そこで「ロトのうしろにいた彼の妻は、振り返ったので、塩の柱になってしまった」(創世19:26)のです。ソドムは現在死海になっている低地帯にありました。そこは塩分濃度が高く、現在でも塩の柱が見られるそうです。ですからロトの妻は、神のご命令に背き一瞬にして塩の柱になり死にました。
 ロトとふたりの娘だけが必死で逃げて助かりました。
 ですから私たちは須藤信雄さんの財産も顧みず、後ろも見ないで、津波から逃げ切った勇気ある行動を称えたいと思います。また津波に飲み込まれてしまった方々の「冥福」を祈ります。