ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

クリスチャン・ディオールのジョン・ガリアーノはなぜ解雇されたか

 私のような貧乏人には、クリスチャン・ディオールなどといった高級ファッションを売り物にする企業の事など関心がありませんし、1996年その企業の主任デザイナーとして採用されたジョン・ガリアーノなどという人物も全く知りませんでした。
 しかし朝日の「甲乙閑話」というコラムに載った「ガリアーノ解雇騒動の裏側」という記事が、私の注意を引きました。ちょうど神吉拓郎の『私生活』という本を読んで、思っていた事と共通しているからです。
 やはり私は神吉拓郎という作家を知りませんでしたし、短編小説集『私生活』が1984年の直木賞を受賞している事も知りませんでした。きっかけは何かの本を読んでいた時にその短編集の中に登場するある人物の事が紹介されていたからです。
 それは冒頭にある「つぎの急行」で登場する草葉という銀行員の話です。彼は同じ団地に住む戸川から見ると、「慇懃の衣を筍のように幾重に着込んでいて、いっかな脱ごうとはしない」ような人物です。銀行員としては打って付けなのでしょう。彼の妻も戸川の妻からすれば「消毒薬の匂いがしそうな衛生的美人」で魅力がなさそうです。草葉は日頃妻の事をどう思っていたのでしょうか。
 それを想像させる衝撃的な場面に戸川は出会います。泥酔してキャバレーの入り口に立つホステスに、だみ声で猥褻極まりない悪態を演じているのです。戸川にはまるで信じられないような光景でした。草葉は普段の様子とは異なり、全く酔って豹変しているのです。しかし彼はホステスに逆襲され、すごすごと引き上げ、まるで何もなかったかのように「端正」に帰宅しました。一人の人物に潜む人格の対極の描写に、私も感心していたのです。
 そんな時にガリアーノの解雇です。彼は天才的なデザイナーで、ディオールを世界的企業に成長させた人物です。そう書くと彼は高い階層出身で高慢な人のような印象を持たせますが、さにあらず。スペインのジブラルタルで生まれ、幼い時に英国に移住し、厳しい試練を通過して来た人です。その為恵まれない人々への共感も示し、ファッションにも反映させようとしていたようです。朝日の取材では「知的で物静か、紳士的」で「誰にも優しい人」だったそうです。
 そんな彼がカフェで酔っ払い、「反ユダヤ的な暴言」で警察に逮捕されていたのです。彼もまた上記の草葉と同じように、「疲れによる病が産んだ別人格がしたこと」と、世間やマスコミは信じられないといった驚きの目をもって見つめています。
 それが聖書でいう心の中に巣くう「罪」の顕在という事です。
 「私は言います。御霊によって歩みなさい。そうすれば、決して肉の欲望を満足させるようなことはありません。なぜなら、肉の願うことは御霊に逆らい、御霊は肉に逆らうからです。この二つは互いに対立していて、そのためあなたがたは、自分のしたいと思うことをすることができないのです…肉の行ないは明白であって、次のようなものです。不品行、汚れ、好色…」(ガラテヤ5:16,17,19)。
 救い主イエス・キリストを信じた人の心には神の第三位格である聖霊が内住されます。その聖なる方が信徒の堕落した罪深い肉の欲望にブレーキをかけられますが、それでもキリストの聖霊に逆らう事もあり得ます。信徒の心にもこの聖霊の導きと、肉の願いという2つの相反する対立したものが厳然として存在するのです。だから御霊の導きに従うなら、信徒は肉の欲望、特に抑制なき性的欲望から解放され、自由になるのです。
 しかし信仰者でなければ、あの草葉やガリアーノのように、泥酔による心の解放で、生まれつき存在する罪の汚れた欲望が、行動として顕在化してしまいます。良心が麻痺し、取り返しのつかない失態をしでかしてしまうのです。