ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

iPS細胞と免疫拒否反応の問題

 2011年5月13日のネイチャー・ニュース(英語)では、「初期化した細胞がマウスの免疫反応を引き起こす」という題で論文が載せられ、サイエンスナウとかニューヨークタイムズ電子版などで紹介され、その衝撃的なニュースは朝日新聞5月14日号でも「iPS細胞なのに拒絶反応」という題で伝えられました。
 既にご承知の通り、iPS細胞(=人工多能性幹細胞)は、京都大学山中伸弥教授が世界に先駆けて開発し、朝日によると「皮膚などの体細胞にウイルスを使って遺伝子を入れる方法で細胞が神経や心臓などさまざまな臓器・組織になり得る状態にリセットできることを示した」のです。
 それが世界をあっと言わせました。それまではES細胞(胚性幹細胞)という卵の一部を壊して作ったものを実験で用いていた為、私たちキリスト教界ばかりでなく、良識ある科学者たちもそれが「倫理的に問題」であると批判していました。
 キリスト教の場合「見よ。子どもたちは主の賜物、胎の実は報酬である」(詩127:3)等々の聖書箇所から、受精卵を壊す行為は「殺人」であるという立場を明確にしています。このES細胞で広範な病気の治療が可能となる為、米国などでは盛んに研究され、ブッシュ政権で研究が凍結されていたのに、オバマ政権で認可され、臨床試験が開始されました。
 その治療法が適用された最初の例は、事故で脊椎損傷した患者ティモシー・アティソンです。彼はバプテスト教会に通う信徒だと自称していますが、このES細胞による治療は「神の意志」であると語っています(4月15日のワシントン・ポスト電子版で、http://mrknoboyaki.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/04/post_7d64.htmlにて、日本語で紹介されています。私はこれは神への冒涜であるとみなします。
 ですから受精卵を用いない治療法の為に、人間の体細胞を用いた研究が山中教授によって促進され、その発表から世界中で実用化の為にしのぎが削られていました。そこには特に倫理的問題が存在しないと思われたからです。
 でもマウスの実験ではありましたが、元々自己の細胞から取られたものを増殖して、損傷を受けた同じ自己に移植したところ、免疫細胞の一つT細胞がその移植されたiPS細胞の組織で浸潤している様子が、ネイチャーの画像で示されました。写真は借用出来るようなので載せました。
暗褐色の部分がT細胞です。カリフォルニア大サンディエゴ校のヤン・フー教授(*読み方が違うかもしれません)らが撮影しています。
 この結果をオックスフォード大学の研究者ポール・フェアチャイルド氏は、「これは驚きだ。この分野研究全体の作業をめちゃめちゃにしそうだ」と感想を寄せています。またヘブル大学のニッシム・ベンベンストリー教授(*読み方がやはり違うかも)は、「患者から生成したiPS細胞はその患者に移植出来る」というこれまでの成果は、「事実ではないかも知れない」と懐疑的になっています。
 今回の研究ではiPS細胞で形成された奇形腫(テラトーマ)において、かなり発現されている幾つかの遺伝子のうち、特にZg16とHormad1という2つの遺伝子が特に免疫系攻撃の目標にされたそうです。
 こうした結果から見ますと、期待されたiPS細胞による病気の治療は、ES細胞の場合と同じように、神の領域、神の御手のわざを侵した、人間による罪の行為と思わざるを得ません。