ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

漁に出られない人々

 5月25日の朝日夕刊に「漁出られぬ漁師」という題のコラムがありました。
 漁師たちは福島県いわき市久之浜(ひさのはま)漁港を拠点とする人々です。そこは原発事故で影響のある30キロ圏内に位置しているそうです。勿論沿岸は津波で壊滅状態。出漁していた漁師たちはかろうじて南部の小名浜港に避難出来ました。
 しかし漁師たちの拠点は久之浜ですから、何としてもその漁港を復興させたいと願っています。障害の第一は勿論原発事故による放射性物質の海への流入によるもので、魚への汚染という深刻な問題です。原発事故が終息していない現在、魚の基準値は上がったり下がったり、落ち着く気配はありません。早く安全な魚の漁をという漁師たちのあせりが切実に感じられます。
 第二の障害としては、久之浜漁港の被災写真を見れば一目瞭然です。つまり出漁しようにも、漁港内ががれきで一杯ですから、まずそれらを撤去しなければなりません。それも相当長期にわたりそうです。陸地の重機による撤去作業とはまた異なり、かなり困難な作業が予測されます。
 第三には、報道にもあったように、仮に出漁出来る状態になったとしても、一般の人々には原発30キロ圏という思いがあり、汚染魚ではないかという風評被害が、今後も付き纏う事です。これも放射能汚染という事を考えると、かなり長引きそうな問題になるでしょう。かつて無かったほどの汚染水流出ですから、今後「食物連鎖」にどう影響してくるのか、全く不明と言って良いでしょう。この連鎖の図はhttp://kaisuigyo.main.jp/kotu.htmlからお借りしました。
 この食物連鎖という言葉はかの水俣病で有名です。工場から海に流れ出たメチル水銀食物連鎖により濃縮され、その魚介類を食べた人間が水俣病に罹病してしまったのです。
 今度の汚染水の程度は水俣とは比較になりません。広範囲な海の汚染は世界中の人々も心配しています。その第一義的な責任は東電にあります。それから原発を推進して来た人々。皆世界中に負債を負っていると考えなければなりません。
 この補償問題解決への道も全く不透明です。従って漁師たちの中には船を売って「陸に上がる他ない」と考えている人々もいます。是非被害に遭った漁師さんたちの安全で安定した生活が一日も早く訪れるよう祈るほかありません。
 ところで聖書には生まれた時から漁を生業にしていたガリラヤ湖周辺の人々がいました。それが新約聖書を書いた事で有名なヨハネやペテロらでした。
 「イエスガリラヤ湖のほとりを歩いておられたとき、ふたりの兄弟、ペテロと呼ばれるシモンとその兄弟アンデレをご覧になった。彼らは湖で網を打っていた。漁師だったからである。イエスは彼らに言われた。『わたしについて来なさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう。』」(マタイ4:18−19)。
 当時のガリラヤ湖死海とは異なり魚が豊富でしたから、彼らは久之浜の漁師のような試練はありませんでした(それは生涯の終わり近くのクリスチャン迫害で生じる事になります)。救い主イエス・キリストはこうした漁業の他賜物のなかった彼らに目を留めて「手繰り寄せ」、ご自分の弟子とされました。それは海での漁ではなく陸の人間(未信仰の)を「すなどらせ」、信徒として全世界に福音を宣べ伝えさせる為でした。
 私は今苦しんでおられる漁師さんたちに、陸に上がり伝道者となるような安易な勧めはしません。けれども神である救い主イエス・キリストは真実な方ですから、その方への信仰により、苦難から希望への道が開かれる事を切に望みます。