ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

小出裕章著『原発のウソ』を読んで

 3月11日の大震災に続く原発災害では、これまで政府や東電などの企業が行なって来た原子力推進体制にずっと批判的だった良識ある学者らが、緊急に本を書いて、改めて私たちの蒙を開いています。故高木仁三郎氏や広瀬隆氏などがそうですが、もう一人京大原始実験所助教授の小出裕章氏の名前も挙げられます。
 小出助教授には以前に書かれた本の復刻もされていますが、今回「原発のウソ」という本を出し、福島第一原子力発電所で何が起こり、今本当はどういう状況なのか、歯に衣着せない形で告発の文章を綴っています。ちなみにネットで検索すると、小出助教授は「熊取6人組あるいは熊取6人衆と呼ばれる京都大学原子炉実験所の科学者たち」のうちの一人だそうです。そのブログでは「原発の危険性を訴え続け、そのため出世はできず、しかし信念を曲げない誠実な学者たち」と副題がついていました(http://strada-nuova.blog.so-net.ne.jp/archive/20110407)。そして6月29日の朝日新聞では、「私の視点」という欄で、やはりこの6人衆に含まれている同僚の助教授今中哲二先生も、小出先生の主張と重なりさらに踏み込む形で提案をしています。逆にこのブログ、原子力を推進して来た東大教授らの名前を羅列していますが、よくもまあここまで調べたものだと感心しました。
 小出助教授の本を読み終えて感じたのは、今福島第一原発で起きている事、これからすべき事など、小出助教授が全く包み隠さずあからさまに述べている点です。学者としての良心が滲み出ているという感じでした。新聞広告でこの本がベストセラーに載っているのも不思議ではありません。
 原発製造のコストは実は安くない、二酸化炭素を大量に出す産業として地球温暖化を促進させるなど、これまでその逆を信じ込まされてきた私たち素人には、実にわかりやすい丁寧な言葉で反論しており、強い説得力があります。
 特に私たちの一番知りたい被爆量やその閾値(その値を境にして、動作や意味などが変わる値)について、小出先生は「そんなものは存在しません」と断言しています。つまり「〜シーベルト以下なら安全」といった政府や東電の流している情報が全くウソである事を明快に指摘しています。
 原発から毎日排出される高濃度の放射能は既に日本列島全体に影響を及ぼしており、特に東日本では若い人々は出来るだけ逃げ、私たち高齢者はもはやそれぞれの場にあって覚悟を決めなければならない事が、この本から分かります。「今となっては、食物の汚染は避けようがないのです」。ですから福島や北関東の野菜や魚を「大人や高齢者が食べよう」と、具体的に進言しています。それがこれまで原発を容認してきた私たち「個人個人」の責任です。
 ところで原子炉から排出される死の灰について、それは「風にのって流れるだけ」と先生は言われました。その流路によって各地の汚染度の高いホットスポットが出来ます。そこが若い人々には危ないわけですが、最後にその逆の例を聖書から挙げておきます。
 「風はその思いのままに吹き、あなたはその音を聞くが、それがどこから来てどこへ行くかを知らない。御霊によって生まれる者もみな、そのとおりです」(ヨハネ3:8)。
 ここでは神の聖霊が風に譬えられています。聖霊は思いのままに人々のところへ向かわれます。そしてその場の人を救いに導かれます。死の灰が吹いた場所では人々が死に追いやられますが、神の聖霊は救いをもたらされます。私たち大人は死の覚悟と共に、永遠の天国で生きる希望を持ちたいものです。