ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

塩は本当に悪いのかー米国高血圧学会誌の研究成果

 2011年7月6日、米国高血圧学会誌は「心臓血管疾患防止の為の食事の減塩ー 無作為化対照試験のメタ分析」とでも訳せる長い論文を発表しました。5人の著者が名を連ねています。
 無作為化対照試験(RCT)をウイキペディアで調べて見ますと、「新薬は既存の薬品よりも効果があるのか、またはその効果はプラシーボ効果ではないのか、病気が特定の症状・進行度(ステージ)にある群が意図的に抽出されているのではないか、などである。このため、ランダムに被験者群を処置群(新薬を投与した群:治験群)と、比較対照群(既存の治療薬群、およびプラシーボ群)に分け、効果を測定する。現在もっとも一般的に用いられている薬剤・治療の効果証明方法」とあります。同様にメタ分析は「過去に行われた複数の研究結果を統合し、より信頼性の高い結果を求めること、またはそのための手法や統計解析のこと」とあります。それだけ調べてもふーふー、もう紙面の余白がなくなりそうです。そこでサイエンティフィックアメリカン誌電子版に載った概略を紹介したいと思います。7月8日の「今は塩への戦いを止める時だ」といった題です(http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=its-time-to-end-the-war-on-salt)。
 対象者6,250人を含む7つの研究で今回明らかにされたのは、塩の摂取量を減らせば、異常のない或いは高血圧の人々の心臓発作、脳卒中、死の危険を減らす事が出来るという強力な証拠は見つからなかったという事です。高血圧の人にとって塩は心臓病を引き起こす危険なものという考え方は、およそ1世紀前に出されました。1970年代にはルイス・ダール博士が、塩の摂取と高血圧との関連を実験で確かめたとし、そうした関係が定着しつつありました。塩の消費の多い日本でも、塩を多くとると高血圧や脳卒中になりやすいとされていました。
 勿論そうした病気を引き起こす因子として遺伝や他の文化的要因も考えられて来ましたが、依然としてダール説は、塩を真犯人と断定するまでに至らずとも、優位な考え方となっていたのです。そこで科学の発展と共に、高度なメタ分析などにより、塩と疾患の因果関係を立証しようと、様々な試みがされて来ました。
 しかし長期にわたり減塩の食事を実行する事で、血圧がだいたい120/80くらいに収まるという明確な証拠はなかなか見つかりませんでした。むしろ1988年の時点で、スタムラー博士が「塩と高血圧症との関係は明確でなく、バラツキも大きく、食塩摂取量と高血圧発症率との関係は無いか、あっても弱いものである」という強い反論を出していた位です(田中佳先生のブログより)。その流れの中での今回の大規模な米国高血圧学会の研究。ここで初めて減塩が長期にわたり益となるという証拠はほとんどないという結論になったようです。
 ただ上記田中先生は「減塩すべきは精製塩」と断定しています。さらに透析を行なっていない腎不全や心不全の状態の人は減塩すべきだと述べています。
 これを要するに、健康か少しくらい血圧の高い人が天然の塩を好みで使っても、長期的な悪影響はないという事でしょう。
 イエス・キリストは譬えの中で塩を持ち出されましたが、次のみことばは物質的な天然塩の積極的評価にもなっているのではないかと思います。
 「確かに塩は良いものだ」(ルカ14:34)。