ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

津波で海水が流れ込んだ田と死海

 3月11日に東日本を襲った巨大津波では、岩手県から千葉県の海岸部の約23,600ヘクタールの農地が冠水し、塩害を受けました。
 津波が去れば通常は海水も流れ込んだ陸地から引いて行くものですが、今回は広い沖積地の広がる沿岸領域で土地の陥没が起きて海水がそのまま滞っている所が多く見られました。まして放射能を出し続けている福島県沿岸地域ではそこに沈積する放射性物質濃度を想定すると、もはや農業は不可能と思われます。ちなみに福島は宮城に続いてそうした冠水被害が多い地域になっています。
 農林水産委員会の担当者が纏めた文書を見ますと、この大規模に海水が冠水した地域では、まず津波と共に流入したへドロや、家屋倒壊などで生じた瓦礫などを撤去した後、土壌に浸透した塩分を除去する必要があるとの事ですが、それは真水を注入して土壌中の塩分を洗い流すという作業によってだそうです。それを海に注ぐ川に誘導し流し出すわけですが、それでも塩分が濃い場合は、石灰を撒いてナトリウムと置き換える措置がなされます。国連食糧農業機関に勤める新野有次氏によれば、堆肥や緑肥などの有機物を入れて塩分を吸着させる方法もあるそうです。
この写真は小田原市のホームページから借用しました。
 土壌が沈下していれば、せっかく苦労して海水を除去出来たとしても、また地震が生じて津波が押し寄せて来る事態になれば、海水が再度田畑に広く滞留してしまいます。速やかに除去しないと、ますます塩分濃度が増加する事になってしまうでしょう。
 そんな事を考えていた時、聖書になじみの深い死海の事がタイム誌電子版(英文)に出ていました。「以前よりもっと死んだ海に、そしてますますそうなりつつある」といった題での紹介記事です。
 そこへは真水のヨルダン川が流れ込みますが、死海は出口がない為、溜まっている塩分濃度は多くなるばかりで、海水の8倍はありほぼどんな海生生物も生存が不可能です。ヨルダン川の真水は近頃どんどん飲料水や灌漑用にとられてしまい、昔の流れの僅か2パーセントほどしかないそうです。さらに死海の塩水もそれを利用する工業用水として取り出されているので、水位も下がり続け、よけい死んだ海になってしまったそうです。
 それをどう復元するのか。現在計画として俎上に上がっているのは、190キロメートルも離れた紅海から海水を引いて来るというものです。しかしそれはかつてのヨルダン川の真水から海水への注入変換で、死海の生態系を壊してしまうという事が危惧されています。
 死海津波被害を受けた地域の田畑の塩分濃度の深刻さについて考えて見ました。次の聖書箇所が嘘のようです。
 「川はみな海に流れ込むが、海は満ちることがない。川は流れ込む所に、また流れる」(伝道者の書1:7)。