人間とチンパンジーでは大脳皮質の老化で違いがある
7月25日のPNASサイト(Proceedings of the National Academy of Sciences))に、ジョージワシントン大学の研究チームが「人間とチンパンジーでは大脳皮質の老化で違いがある」という題で論文を寄せています。私たち素人は勿論その要約しか見る事が出来ないので、フィズオルグサイトでの紹介記事を比較対照して考えて見たいと思います。チームのボスはシャーウッド博士です。
それによりますと、一般に人間では1,400CC、チンパンジーで400CCと言われている脳容量ですが、老化と関連する神経の変質は両者に見られます。しかし老化の過程で、海馬とか前頭葉といった特別な脳の構造における容量の減少は、人間だけに見られる、という観察結果が今回得られました。
研究チームは10〜51歳にわたる99匹のチンパンジーの脳と、22〜88歳にわたる87人の人間の脳をMRI(核磁気共鳴映像法)を用いて調べました。大脳新皮質の灰白質、白質、前頭葉の灰白質、白質それに海馬を加えたものの全てについてです。
得られた映像を両者で比較してみたところ、人間は一生において全脳構造の容量が減少するのに、チンパンジーでは老化と関連する有意な変化は示されませんでした。人間における特筆すべき老化の影響は、チンパンジーの最大寿命よりも生きて老いた個々人の力によるものと判明しました。人間は歳をとると、脳の萎縮が特に海馬(脳の記憶や空間学習能力に関わる箇所)で顕著になります。そこではいわゆるアルツハイマー病(痴呆症)で神経細胞が壊れてゆきます。それは老齢化した人間だけに見られるものですが、その原因は科学サイトを見ても、いまだ十分に解明されておらず、研究が続けられています。
シャーウッド博士は「ヒトでほんとうに独特なのは、極めて長い寿命と、大きな脳という二つの組み合わせです。この二つの適応には確かに有益なところもありますが、ヒトという種の高齢者における脳容量の大きな減少は、損失となります」と言っています。
研究者たちは結論として、人間の老化で見られる脳の萎縮は、進化論的に見ても新しい現象で、寿命が伸びた事の結果であるとしています。
脳が大きくなり寿命が長くなった為に、人間にはチンパンジーに見られない脳の萎縮が起こるようになった事、それは「進化」であるというわけです。
しかし既に言語能力と関係のあるFOXP2遺伝子において、そのアミノ酸配列が2箇所異なっている事が分かっています。進化論者たちはそれをヒトがチンパンジーと分かれた後獲得した遺伝子変異と捉えています。
でも創造論を信奉する研究者たちはチンパンジーとヒトのY染色体の顕著な違いといった最新の研究成果も含め、神が両者を別の種類のものとして創造されたという事を、そうした世の研究成果からもますます確信しています。