ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

石橋克彦編『原発を終わらせる』を読んで思った事

 新刊にしては珍しく図書館で上記の本を借りられたので、早速読み通してみました。ビンボーなhateheiですが、改めて買う価値のある本であると、皆様に推奨しておきます。14名の方々が執筆しておられ、「紙幅の制限」を最初の田中氏が嘆いていましたが、私たち素人には立派な内容でした。
 各著者からいろいろ知見を得ましたが、特に学ぶ事の多かった論文を挙げるなら、この田中三彦氏のものと田窪雅文氏のものです。田中氏と編者の石橋氏の単独の本としては、既に岩波新書で出ており、私も読みました。
 田中氏は日立で原子炉圧力容器の設計に携わった経験を持っている為、第一章の「原発で何が起きたのか」では、知り得る限り最も詳しくその原因を推測しています。私たちのような一般読者がそれを追いかけて行くのはかなり大変だと思いますが、推理小説を読む時のようなわくわくとした感じを抱かせます(ちょっと不謹慎な言葉ですが)。なぜ「わくわく」なのかと言いますと、ウソで固めた東電側の言い分を喝破しながら推論を展開しているからです。そして原子炉の構造が、新聞などで単純化されて描かれているものとは全く異なり、配管その他複雑に入り乱れている事を私たちに教えてくれます。その為正常に働いている場合は、単純な図式の流れで容易に理解出来ても、いざ事故が起きてしまえば、直接そこで長時間検証する事など、放射能数値が極めて高く危険で出来ないわけですから、東電側技術者も「想定外」「想定外」と叫ぶ他ない事を思い知らされます。第二章で登場する金属材料学の井野博満氏が言っている「中性子照射脆化」など、実験を重ね慎重に加味して作り上げたものでない事が分かりますので(研究者たちの基礎実験も、東電に有利な形でという偏見がかかっています)、一度大きな地震が起きると、脆くてすぐに水素爆発、そして最も恐れている水蒸気爆発も生じて、あっという間に破壊されてしまうのでしょう。井野氏の最後の言葉を借りるなら、「原子力発電そのものを廃止すべき」だと私も思います。
 そして田窪氏の論文は、長崎で投下された原爆の主体であるプルトニウムがいかに危険なものであるかを私たちに教えています。青森県六ヶ所村では既に建造された再処理工場と並行して、MOX(ウラン-プルトニウム混合酸化物燃料の略称)燃料工場が建設されつつあります。仰天したのは、このMOXがいかに簡単に核兵器に利用出来るかという事でした。
 聖書ではこれから「戦争のことや、戦争のうわさを聞くでしょうが、気をつけて、あわてないようにしなさい。これらは必ず起こることです…」(マタイ24:6)と、イエス・キリストご自身が警告しておられます。そのように核廃絶による世界平和など全く幻想なので、イスラム原理主義過激派のアルカイダなどがいつ日本に潜入し、プルトニウムを奪取しないとも限りません。それなのに日本におけるプルトニウム保有量が増えつけています。それを処理してゆくのに必須なのが「プルサーマル計画」だそうですが、現在それが頓挫しています。先が全く見えません。だから田窪氏も最後に「今回の事故を契機に再処理計画は即座に中止すべきである」と言っていますが、強い説得力があります。
 そのように各著者が真摯に「原発を終わらせる」事を提案しています。しかしそれに耳を傾けない不敬虔な者たちが圧倒的に多く、実現には悲観的です。
 「主の日は盗人のようにやって来ます。その日、天は激しい音をたてながら消えうせ、自然界の諸要素(ストイケイオン)は熱に熔け尽くし、地とそこで造り出されたものは暴かれてしまいます」(ペテロ第二3:10新共同訳)。
 残念ながらこれが聖書の預言です。私たちは今の古い汚染された地球が滅び、汚れの全くない新天新地を待ち望むしかないでしょう。