ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

中国の蟻族とは

 図書館で廉思著『蟻族』という本を借りて読みました。
 あまり聞き慣れない言葉ですが、この本の第二章で廉思氏が定義づけを行っています。蟻と人間を比較しての事ですが、まず蟻は昆虫の中で最も賢い種であり、群棲しています。また人間の目から見ても、「不撓不屈」な働きをしています。しかし蟻は小さく弱い昆虫です。けれども強敵から身を守る為、蟻酸を分泌して時には人間にも被害を及ぼします。そこでまずこの人間集団は、比較的高い学歴を有する若者たちが群居して生活を送っており、失業や低所得という試練にあえぎながらも希望を捨ててはおらず、社会的には弱小な群れではあるけれども、時々大きな社会問題を引き起こすという特徴を持った集団の事と纏める事が出来そうです。
 この本の副題「高学歴ワーキングプアたちの群れ」から想像しますと、彼らは北京大学清華大学といった超一流の大学を出たわけではなく、どうも地方の比較的程度の高い大学出身という感じです。彼らは職を求め北京などの大都会にやって来て面接を多く受け、高収入の企業を求めるわけですが、なかなか採用されず、遂には低収入の職業に甘んじているか失業中であり、「捲土重来」を目指しているといったところでしょうか。
 ニューヨークタイムズのルポ(2010年12月11日)によると、1998年には83万2千人ほどだった数が、2009年には600万人を越え、さらに増加中との事です。深刻な問題です。
 この本は彼らの実態を探りながら書かれていますが、それにしても社会主義を標榜する中国にしては、あまりにも資本主義の醜悪な面が浮き彫りになっています。酒、タバコ、企業間のひどい格差と競争、劣悪なアパート生活と喧嘩等々、さっぱり良い点が見られず、日本と類似しています。
 でも蟻族を日本の現在の若者と比較しても、それほど共通点は多くありません。高学歴で失業中かアルバイトと言えば、日本では大学院卒業博士号取得といった少数の若者を思い浮かべますが、日本の所得格差もひどいですから、大学は勿論、大学院まで行ける人の数そのものが少ないです。少数の富裕な家庭出身でないと不可能に近づいています。日本では「蟻族」の生まれる環境はないと見て良いのではないですか。
 では教会はどうか。かつては等しく「罪人」だったのが、救われて共に集い合い、救い主の御名を称えるという点では、群れの性格は与えられた賜物によってだいぶ異なります。様々な階層の人が集まっています。けれども全知全能の神から知恵を頂いて互いに愛をもって仕え合い、世での生活の試練はありますが、あくまで天国への希望を捨てず、日々恵みを得ている点では、蟻族と似ており且つ非なるところがあります。また初代教会の頃は救われる人々の数が膨大で、社会をひっくり返すような勢いがありましたが(ローマ帝国衰退にも関与)、現在福音伝道は静かに深く浸透しており、政治活動のような目立つ動きはありません。けれども以下のようなみことばの実践の為励んでいます。
 「兄弟愛をもって心から互いに愛し合い、尊敬をもって互いに人を自分よりまさっていると思いなさい。勤勉で怠らず、霊に燃え、主に仕えなさい。望みを抱いて喜び、患難に耐え、絶えず祈りに励みなさい。聖徒の入用に協力し、旅人をもてなしなさい」(ローマ12:10−13)。