ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

定年後にやるべき事がない

 2011年10月22日の朝日新聞「悩みのるつぼ」欄で、59歳の会社員が来年定年になったら何もすることがない、どうしたら良いのかという助言を、経済学者の金子勝氏に求めていました。金子氏は経済学の基本を新書に多く書いていますが、どれも比較的分かりやすいものです。
 この会社員ですが、いままで38年間真面目に働き、2人の子どもたちは既に独立、夫婦2人だけの生活を送っています。ですから退職金もまずまず、余暇を活用するような事もほとんどなかった為に預貯金は十分、当然余裕を持って年金生活で残された人生を送る事が出来ます。その38年間をひたすら母親の見守りと介護で費やし、年金は無いに等しくこれからどう生活してゆこうかと悩んでいる私(信仰者なので、最後には神が導いて下さると楽観してはいます)には、経済的に見れば羨ましい限りです。もっと経済的困窮に陥っている若者たちなら、この投書を読んで怒り出すかも知れません。
 というのはこの会社員は趣味らしきものを全く持たず、ひたすら会社の仕事に励んで来た為、来年退職すると自分の生きがいだったその仕事が無くなってしまい、これから先「何もすることがない」「無為徒食の日々を送り、いずれ死んでゆくことになりそう」といった、極めて贅沢な悩みを抱いているからです。
 でもその人は一言ぽろりと、「なにか結局、つまらない人生を送ってしまったようで悔いを残しそうです」と言っています。
 当然でしょう。長らくホスピスケアに携わって来た敬虔なクリスチャン柏木哲夫氏は、いつも「人は生きてきたように死んでいく」という事を言っています。「しっかり生きてきた人はしっかり亡くなっていかれますし、表現はおかしいけれどもベタベタ生きてきた人はベタベタ亡くなっていく。それから、周りに感謝をして生きてこられた人は、我々にも感謝をして亡くなられるし、不平ばかり言って生きてきた人は不平ばかり言って亡くなっていく…このことは、よき死を迎えるためには、よき生を生きなければいけない、ということを教えてくれている…」(ネットから借用)。多くの人々を看取って来た柏木氏の実感がこもっています。だからこの会社員も言うように、会社生活以外何もする事なく生きて来た人は、そのように死んでゆく他ないのです。
 これに対して金子氏は既成の人間関係でもよいし、同じような境遇にある人との新たな人間関係の創出でもよいから、とにかく人との繋がりを求めてみたらと助言しています。そうすれば話し合いの中から自分のするべき事が見えて来るはずだからです。
 聖書の伝道者ソロモンは次のような聖句を残しています。伝道者の書12:1。
 「あなたの若い日に、あなたの創造者を覚えよ。わざわいの日が来ないうちに、また『何の喜びもない。』と言う年月が近づく前に」。
 そのように私たちが若い時、自分を造られた神を信じてその御心に適った生活を送っていれば、神と人から愛され、喜びに満ちた人生を過ごして、感謝のうちに死を迎える事が出来るでしょう。