ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

『大津波と原発』を読んで

 上記の本を図書館で借りて読みました。ブログでよく出て来る内田樹氏と平川克美氏の息の合ったコンビに、今回は人類学者で面白い発想をする中沢新一氏が加わっての鼎談となりました。本のページ数は120ページほどで薄いのですが、中身は濃くていろいろ教えられるところがありました。
 いつも不思議に思うのですが、一人で机に向かっている時たいした事が思い浮かばないのに、鼎談と言わず、私の場合高校有志会で常時6人位が集まった時、討論していると思わぬ考えが出て来る事が多々あります。
 それはとにかくこの本からヒントを得た事は二つありますが、一つは又の機会に書くとして、最初の一つは原発の本質を衝いた大切な事柄です。
 鼎談中の中沢氏が述べている事ですので、少し長く引用します。
 「文明史というのは、毒物を取り入れて薬物に変えるということのくり返しなんです…薬といわれているものは、かつての毒物ですからね。この毒物に、いろいろ媒介をほどこしたり、フィルターをとおしたりして人体に悪影響のおよばないような、副作用の少ないものに変えて、薬にするわけです…火はもともとは危険なものでした。人間にもなかなかコンとロールできないものでした…何千年もかかって周りにフィルターをつくって、なんとか役に立つようにした…。
 それが原子核の中の原子の結合エネルギーを取りだそうということになれば、今まで生態圏になかったエネルギー形態ですし、副産物もいっぱい出てくるわけですから、これはりっぱな毒です…人体だって多大な影響を受ける…この毒物を人間の世界のまっただ中に据えることに関しては、七十年くらいの技術の歴史ではとうてい解決し得ない問題がたくさんある」。
 これは重要な指摘です。中沢氏が結合エネルギーを取り出すと言う時、原発における原子力エネルギーで考えると、ウラン235やプルトニウム239などを示唆しています。コンピューター計算で理論的に考えると、ウラン235の半減期は約7億年、プルトニウム239は約24,000年と言われています。すると現代定着している人間の文明史数千年の年月を遙かに越えており、これを技術の発達で「薬物」に変える事はまず不可能です。悪い木は悪い実を結びます。
 そうした事に関連して救い主イエス・キリストはこう言われました。
 「にせ預言者たちに気をつけなさい。彼らは羊のなりをしてやって来るが、うちは貪欲な狼です。あなたがたは、実によって彼らを見分けることができます。ぶどうは、いばらからは取れないし、いちじくは、あざみから取れるわけがないでしょう。同様に、良い木はみな良い実を結ぶが、悪い木は悪い実を結びます。
良い木が悪い実をならせることはできないし、また、悪い木が良い実をならせることもできません。良い実を結ばない木は、みな切り倒されて、火に投げ込まれます」(マタイ7:15−19)。
 ここではキリストは一貫して悪い木が悪い実を結ぶというごく当たり前の事実を簡明に語っておられます。そして原子力利用に関しては、その産物がご自分の被造物ではないので(造られたものが全てよかったと言われた中に、このほぼ人工的な放射性物質が含まれていなかったと考えるのは当然の事です)、悪い実しか結ぶ事が出来ず、そうしたものは全て倒され焼却されなければならないと言われたわけです。勿論イエスの譬えの主眼点は世の物質的な事柄ではなく、「にせ預言者」のような光を装う人々の事でした。
 でもイエスは仮に中沢氏の言うように、文明が進んで何万年も先に毒を薬に変える技術が開発されたとしても、それまでの時間的余裕を与えられません。世の終わりが必ずやって来ます。
 けれどもイエスは中沢氏の指摘を待たずとも、悪い木が良い実を実らせるという霊的事実をも語っておられます。それは何か。
 罪人である私たちの事です。私たちは生まれながらにして悪い罪の性質を受け継いでおり、そのままでは悪い実を結ばせて枯れ死してしまいます。
 しかし神の力は全能でヒョウのまだらをも変えられる能力があるので、そうした罪人の性質をも奇跡的に変えられるのです。それが罪人の回心です。