ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

東日本大震災における子どものケア

 東日本大震災では大人も子どもも大被害を受けました。12月8日の警察庁発表では、死者15,841人、行方不明者3,493人となっており、後者の数が多い為、被害実態の統計はまだまだ先の事になるでしょう。この不明者捜索で懸命に頑張っておられる方々には心から敬意を表します。一刻も早く発見され、ご家族らを安堵させる事が出来るようお祈り致します。
 新聞記事はずっと見て来ました。震災後の人々の心のケアについても、阪神大震災とはまた違って、新たな対応が必要になって来る事を実感します。
 その中でも特に片親や兄弟や親戚・友人との死別を経験した子ども、全く家族を失って震災孤児になってしまった子どもの数が目だっています。その子どもたちの受けた心的外傷の大きさを思うと、いたたまれない気持ちになります。手を差し伸べられないので、内心忸怩たる思いです。もっと復興が進んでから、是非ボランティアで東北に行きたいと考えています。
 ところで乳幼児から中高生までのケアに当たり、東北以外の県からやって来るボランティアの人々の軽率さも目だっているようで、主として現地の臨床心理士などが支援の心得を発信して、注意を呼びかけています(http://heart311.web.fc2.com/kobayashia5.pdfなど)。
 それらを読んでいると、基本的には阪神大震災での経験を踏まえた事柄も多く見受けられます。私はiireiさん(http://d.hatena.ne.jp/iirei/)から、藤森和美・藤森立男共著『心のケアと災害心理学』という本を紹介され、読み終わったばかりです。1995年阪神大震災後に書かれたもので、16年ほど前の事になりますが、この本の特徴は従来の大人向けのケア主体のものばかりでなく、子どものケアの細かいところにも触れている事です(特に巻末で)。その内容の記述は今でも十分適用出来るので、上記PDFファイルとも共通しています。私も幾つか学んだ箇所がありますので、その骨子を記しておきます。
 子どもはこの未曾有の災害で、様々な情緒反応を示します。突然の大地震や大津波で全く怯えてしまい、為すすべを知りません。そのような時最も大切なのは、まず親や教師たちの強いリーダーシップであると著者たちは言っています。大人がおたおたしていては、子どもの不安は増すばかりだからです。自信を持ち、「すぐに直接的で積極的な行動で開始する」事が肝心です。そして正しい情報を得て、分かりやすく理解出来る言葉で起きた事態を教えてあげる事です。その為の知識や知恵は必須で、生半可な事では子どもは納得しません。さらに大きな包容力と愛をもって子どもに接する事です。とにかく忍耐を持って子どもの訴えをよく聞いてあげるのが大切です。それによってリーダーと子どもとの間に信頼関係が生まれ、子どもを素直に従わせる事が出来るでしょう。
 子どもたちは心身とも傷を受けており、退行現象(お漏らし、おんぶにだっこの甘え、モノを壊すなどの粗暴な行動等)や、津波ごっこ、生き埋めごっこ、災害のお絵描き等々「災害遊び」といった大人にない特異な行動を示します。それらを叱ってはいけません。健康回復への一過程と捉え、注意深く見守ってあげる事が必要です。
 そして私が学んだ第二の点は、親や他の兄弟姉妹たちとの死別では、一見残酷そうですがその死に思い切って直面させる事です。決して死を美化してはならないという事です。つまり死んだ人々が皆「天国に行った」などと安易に言ってはならないのです。子どもは「どうして天国に行ったのに悲しいのだろう」と思います。それから派生して、自分も天国に行きたいという憧れの気持ちや、天国から自分を迎えに来ないといった寂しさや恨みの気持ちが次第に募ってしまうのです。実はこれは「信仰の家族」だけに当て嵌まる事で、親や日曜学校で天国の事を十分教えられた子どもの場合のみ、悲しみの後の回復が比較的早いという事は言えるでしょう。
 それらを考えながら、聖書でも包括的に述べている箇所が見つかります。
 「監督はこういう人でなければなりません。すなわち、非難されるところがなく、ひとりの妻の夫であり、自分を制し、慎み深く、品位があり、よくもてなし、教える能力があり、酒飲みでなく、暴力をふるわず、温和で、争わず、金銭に無欲で、自分の家庭をよく治め、十分な威厳をもって子どもを従わせている人です」(テモテ第一3:2−4)。
 監督とはここでは牧師などのリーダーを指していますが、広く適用出来るでしょう。ここでも「十分な威厳をもって子どもを従わせている人」が強調されています。昨今家庭の男親は「あるじ」としての力をほとんど発揮していません。そこから様々な家庭の問題が生じ、こうした震災でも的確に対応出来なくなっています。再度聖書の言っている事に目を向けて、親としてのリーダーシップを復権させる事を願います。