ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

あの「北の国から」の倉本聡さんもTPPを心配している

 倉本聡さん脚本によるテレビドラマ「北の国から」が放映され出したのは1981年からですが、その頃は確かテレビを持っていた私は以後もずっと観そびれてしまいました。従って内容はよく知りませんが、舞台は北海道の富良野という所です。
 2011年12月9日の朝日新聞に「北の国からTPPを考える」という題で、インタビューが載っていました。もう34年も富良野に住んで、有機農業を行なっています。
 倉本さんは1935年生まれですから、太平洋戦争が始まった頃は6歳、その後敷かれたABCD包囲網で戦局が一気に悪化していった様を幼いながら記憶しておられたかも知れません。ですから戦争を始めるに当たり石油をどう確保するかで頭を悩ませていた連合艦隊山本五十六の事など、後から学んで熟知していたと思います。敵対する国の潜水艦などがその補給網を破壊してしまえば、たちまち日本は壊滅状態に陥ってしまうからです。
 その事もあって政府が押し進めているTPP(環太平洋経済連携協定)に、倉本さんはすごく心配しています。農業による食糧自給原則が崩れ、外国からどんどん安いものが日本に入って来ても、日本周辺に「仮想敵国」が存在し、その農産物を運ぶ船が「撃沈」されたら(もっと言えばその輸送に必要な石油がなくなったら)、一体どうなるのかという不安です。当面日本に食糧が入らなくなります。
 それに今の工業化された農業では石油が必須です。鉾田に居た時感じましたが、見渡す限りの広い土地を化学肥料を使い、大量の殺虫剤を撒く為にトラクターが必要です。それを動かすのに石油製品がまた多く必要です。そのもとが断たれたらどうなりますか。この農法では土地は毎年やせ衰える一方で、やはり毎年天地返しや土そのものを取り替えていました。今の除染と同じ原理です。
 そうでなくて手間隙かかり、雑草と戦い、重たい有機肥料を抱え、木灰や石灰を撒いて、良質な土を作って行くのに相当時間がかかります。
 特に雑草は人間が堕落して以来、土地が「呪われた為」どうしても汗を流して格闘しなければなりません。これは大変な労力です。
 「また、アダムに仰せられた。『あなたが、妻の声に聞き従い、食べてはならないとわたしが命じておいた木から食べたので、土地は、あなたのゆえにのろわれてしまった。あなたは、一生、苦しんで食を得なければならない。土地は、あなたのために、いばらとあざみを生えさせ、あなたは、野の草を食べなければならない。あなたは、顔に汗を流して糧を得、ついに、あなたは土に帰る。あなたはそこから取られたのだから。あなたはちりだから、ちりに帰らなければならない(創世3:17−19)。
 倉本さんは富良野でこの良質な土を得るのに、さんざ苦労し、試行錯誤を重ねました。これまでの農薬漬けの土地を改良するのに10年近くかかったと言っています。その最後の年に「炭を粉にして土に混ぜたら…やっとミミズが出てきた」と回顧しています。ここでも炭の効用が出て来ます。こうしたものが土地の浄化に役立つという事でしょう。
 でも3Kを嫌う今の若い世代にはそういう技術が伝わっていません。だから急に石油が無くなったから、やはり自給の農業を広めましょうといっても、直ぐにそれが出来ないのです。そうこうしているうち、TPPにより外国から安い農産物が一杯日本に入って来たら、一般の方はそちらに目が向いてしまい、自前の有機農家は遠からず潰れてしまうでしょう。
 おまけに農業は毎年の天候にだって大いに左右されてしまいます。当然不作の年も出て来ます。そこを耐えてというより、外国の化学肥料や農薬漬けの野菜やらを安易に買うなら、きっと長期的には健康にも影響を与えるでしょうし(話題は日本の原発で汚染された農産物の事でしたが、先日スーパーでは競って安い中国のシイタケを一杯買い込んでいる人々に出会いました。一時腐らないシイタケはおかしいとつぶやいていたのに。でもビンボーな私もつい買ってしまいます{苦笑})。
 私はささやかながら農家の真似事をし、汗を流してキュウリに覆い被さる雑草を手作業で除去する仕事をした経験があるからこそ、TPP交渉の行方にはらはらしながら見守っています。交渉する人々は「土に触ふれたことのない人たち」ばかりですから。倉本さん、富良野から声を大にして訴えて下さい!