ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

たくきよしみつ(鐸木能光)著『裸のフクシマ』を読んで思った事

 たくきよしみつ氏を最初に知ったのは、朝日新聞日曜版でパソコンの良い無料ソフトや性能のよいデジカメなどについて、連載で紹介していたからです。
 その内容は非常にわかりやすく、私もテラパッドという日本語ワープロソフトを入れて気楽に文章を作成しています。
 その後書評で上記書物を知り、読んでびっくりしました。たくき氏は福島市で生まれた後、横浜の私立名門星光学院から東京の上智大学を出て、いろいろ研鑽を積んだ後、終の仕事場を新潟の雪深い山奥でと思って買った古屋を改造、入居しようという矢先に中越地震で家が全壊、再び福島に戻って双葉郡川内村に移り住みました。そしてまたまた東日本大震災を経験したのです。原発30キロ圏内でしたから、一旦川崎の仕事場まで逃げたものの、到底ホットスポットとは言えない川内村の自宅に舞い戻り、講談社からこの本を上梓しました。

 この350ページに及ぶ本の内容は極めて精緻で、原発災害の事をものすごく勉強された事が良く分かります。その為非常に中身が濃くて福島の現状を知るには恰好の書物で、皆様にはお勧めです。
 付箋が多過ぎて概要だけでも、このブログに収まりそうになく、私の学んだ事を集約しておきたいと思います。
 まず気づくのは福島の問題地点における放射線量の測定値が本の至るところで出て来る事です。それが可能だったのは、たくき氏が川崎に到着してから、得意なパソコンを駆使して、ネットの販売店からいち早く線量計を確保した事によります。それは英国のサイトからで、ロシア製のRD1706という1ミリシーベルト/時まで計れる優秀な機械でした(しかしこの線量計大活躍した後8月に壊れてしまいました)。
 たくき氏はこれを持って川内村に帰る途中のルートで、片っ端から放射線量を測定し、詳しく記録していました。その為川内村に入っても、そこが「奇跡的に汚染が低かった」事を知ります。それから氏は政府などが発表する20キロ圏、30キロ圏の放射線量データの無意味さを確信しました。同時に各方面からの情報で、むしろ川内村の北西方向の飯館村やその先に延びる福島市などが危ない事を知り、迅速にそこを逃避するべき事を伝えない理不尽さを怒っています。後に放射能は風に乗って原発中心から南に広がり、柏や松戸そして都心などにも広がった事も、克明に記しています。「日本は放射能汚染国家になってしまった」。だから汚染地域の全所帯に線量計をという氏の提案は説得力を持ちます。そして「土、水、空気の安全を奪われて裸にされた福島」(これが本の題となりました)への国の無策や企業の詐欺まがいの行為を、強く告発しています。
 この本の終わり近くの第四章で、氏は自宅のある川内村の「線量よりやっかいな脅威」を、居住している人々にルポしながら描写しています。それは多少の汚染があろうと、それを承知で農業の復興をかなりの住民が願っているのに、村の方針は「最初から何もしないで、補償金を少しでも余計にもらったほうがいい」という思惑であり、それに農家の方々も乗ってしまった事です。お金がからめば当然村の中も分裂するという悲劇が生じて来るのです。
 私はこの本を読み、優れた放射線計を所持し、放射能という「目に見えない」事実(特に川内村での低線量という事実)に迫り、それを確信した氏と聖書の「信仰」を重ね合わせています。
 「さて、信仰とは、望んでいる事がらを確信し、まだ見ていない事実を確認することである」(ヘブル11:1口語訳)。
 私たち信徒は聖書という卓越した書物を所持し、まだ見ていない事実を確認するのです。それがキリスト教の「信仰」というものです。徹底的にこの信仰に立って、私たちは日々を過ごしています。福島の絶望的な状況に悲しみながらも、やがては「見よ。わたしは、すべてを新しくする」(黙示21:5)と言われる救い主なる神イエス・キリストを確信し、その方に希望を繋いでいます。
 私はただただ福島の原発被災者の方々が心の平安を得て、将来に希望を持てるよう祈るばかりです。その時必要な武具はやはり聖書ではないですか。