ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

長寿遺伝子をオンにする

 2012年2月21日の朝日新聞に載った健康・医療フォーラムでは、医者を始め、いろいろな分野の方々が、健康の為に助言をしていました。
 その中で注目したのが、第一分科会で行なった順天堂大学の白澤卓二教授の勧めでした。「長寿遺伝子をオンにする」という題での基調報告の要約と思われますが、教授は最近行なった、また継続して行なっている長野県高山村での研究結果を紹介しています。
 それはテロメアという染色体の末端にあるTTAGGG(人間の場合)の6塩基が反復したもの(このDNAと蛋白質が合体した構造になっている)の調査研究です。

左図の下段がそれで、上段はそれと対をなす塩基で、二重螺旋の構造を作り上げています。
 この言葉を最初に知ったのは、2002年発行の田沼靖一著『ヒトはどうして老いるのか』にあったからです。
 田沼先生によるとこのテロメアの6塩基の繰り返しは百回ほどあり、DNA螺旋構造を安定に保つ役割を果たしています。しかしそれは細胞分裂のたびに、約20個ずつ短くなるので、一般に老化細胞ほど短くなります。その長さが半分になると細胞は死ぬそうです。でも田沼先生は「加齢にともなって一律にテロメアが短縮するとは限らない…八十歳前後のヒトでも大半の細胞のテロメアはまだ十分な長さを持っている」という事を述べています。
 それから研究は進み、白澤教授の研究室ではこのテロメアが直接測定出来るようになったので、実際高山村に行って調査する事が出来ました。この長寿で知られる村の24人を対象に比べてみたところ、何と22人が日本人の平均値より長かったそうです。何が影響しているのか調べてみると、テロメアの長かった人は男女とも果樹園農家の人々で、「自分の畑で採れた物を食べ、農作業で運動もしている。さらに、皮ごと食べられるブドウを栽培している。皮には、生物の長寿遺伝子をオンにする成分があることが分かってきた」という事だそうです。
 このブドウの皮にはレスベラトロールという成分があり、長寿遺伝子と言われるサーチュイン遺伝子(Sirtuin、略してSIRT1)を活性化させるというわけです。
 勿論高山村では他にもリンゴの栽培が盛んです。それにも何か長寿に関わる成分が特性されるかも知れません。
 ちなみにフランスでは、平均寿命もヨーロッパでは特に長いという事実があって、高脂肪・高カロリーの食事を摂っているのにその結果がもたらされる謎が「フレンチ・パラドックス」と呼ばれていたそうです。でも秘訣は赤ワインの消費量が世界一で、その中に含まれるレスベラトロールが関与しているらしいという推定がされています。
 こうした研究結果は聖書の長寿の推定にも役立ちます。ノアは大洪水の後ただちにブドウ栽培を始めましたが、それには洪水以前のノウハウがあったからでしょう。おそらくエデンの園にあった果樹は神の傑出した産物だったに違いありません。エバが食べたいと思った美味しい木の実がリンゴであったとは書かれていませんが、それも有り得る話です。そして人間が罪を犯し、楽園を追われた後、たぶん人々はこのブドウやリンゴの栽培も手がけたのではないかと思います。それで創世5と、ノアの洪水を挟んで創世11以降の人々の年齢を比較しますと、前者では大体800歳から960歳までの間、洪水以後は激減して、およそ200歳から400歳代までとなっています。果樹園が全滅し、新たな栽培にも時間がかかったでしょうし、何より「罪」によってその寿命がどんどん短くなったと推定する事も出来ます。
 そしてアブラハムですが、聖書にこうあります。
 「以上は、アブラハムの一生の年で、百七十五年であった。アブラハムは平安な老年を迎え、長寿を全うして息絶えて死に、自分の民に加えられた」(創世25:7−8)。
 ここではイスラエルの父祖アブラハムが175歳で長寿を全うしたとあるのに注目して下さい。そして彼以後はだいたい現在の私たちと同じ寿命になって来ます。しばしば引用して来た詩篇ですが、こうあります。
 「私たちの齢は七十年。健やかであっても八十年。しかも、その誇りとするところは労苦とわざわいです。それは早く過ぎ去り、私たちも飛び去るのです」(詩90:10)。 
 日野原先生のように100歳でも現役であって元気なのは、例外と考えるべきでしょう。私たちは長寿遺伝子が解明されたとしても、或る程度限界をわきまえないといけないと思います。