ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

福島原発流出の放射能による海洋汚染

 2012年3月30日の米国環境健康ニュースサイトに、「福島の放射能がカリフォルニアの巨大海藻(オオウキモ)から見つかる。レベルが急上昇、そして消えた」といった題の論文がありました。カリフォルニア州立大学ロングビーチ校のスチーブン・マンレイ氏らの調査に基づくもので、サイエンティフィック・アメリカンサイト(http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=radioactive-iodine-from-from-fukushima-found-in-california-kelp)に載った記事を基にしているようです。

左はグーグルからお借りしたオオウキモの画像です。以下は上記両サイトからの要約となります。研究チームは昨年3月11日の福島原発事故の後すぐ、オオウキモの汚染調査に取り組みました。そして福島からの放射性ヨウ素を検出したわけですが、事故前のものと比較しておよそ250倍も高い値でした。しかしこのヨウ素131の半減期は8日ですから、1ヶ月後にはもう検出されませんでした。でもマンレイ氏によれば、福島で放出されたヨウ素131がカリフォルニアまで到着した事に、今回研究の意義があるとの事です。全ての海藻中最大のオオウキモは成長も速く、ヨウ素を蓄積しますから(濃度1万倍も)、マンレイ氏らの目の付け所が良かったわけです。但しこの放射能はオオウキモにはあまり害を与えず、それを食べた魚などが多少影響を受けるだろう(甲状腺)との事です。半減期が短く排泄も速やかなら、食物連鎖に入らないとの推測です。しかし今の所詳しいデータがないので、実質的には「誰にも分からない」そうです。
 マンレイ氏らの調査はヨウ素131だけでしたが、上記環境健康ニュースサイトでは時期を同じくして、東京大大気海洋研究所と、米ウッズホール海洋生物学研究所(ケン・ベッセラー氏が指揮)などの研究チームが、放射性セシウム134,137を主体に、福島沖を流れる海流黒潮の領域付近で追跡しました。

右図の赤い線が黒潮の流れです。この研究については4月3日の米国科学アカデミー紀要に、PDFファイルで公表されていますが(http://www.pnas.org/content/early/2012/03/26/1120794109.full.pdf+html)、サイエンスデイリサイトで詳しく紹介しているので(http://www.sciencedaily.com/releases/2012/04/120402162700.htm)、そちらのほうを主体に見て行きます。「福島の証拠として太平洋の試料採取」といった題です。ベッセラー氏や東大の西川淳氏ら17名の研究チームは、ハワイ大学の研究船に乗って、沿岸から600キロ離れた海域に行き、それから福島原発に近い30キロの地域まで戻りつつ、海水や動物性プランクトン、魚類などの試料を集めました。その際黒潮の海流に沿って移動する小型の漂流監視装置(ドリフター)も流し、放射性物質の汚染状況に関わるデータを集めました。その結果検出されたセシウム134,137など放射性核種は15種類にも達しましたが、それらは事故後福島の海から極めて速く広範囲に拡散して行きました。

 左図で白い線で示されているのが、試料採取の場所です。分かった事は特に黒潮の流れから切れた所で見られる渦巻の中の放射能のレベルが、事故前の千倍にも達していた事です。他にも場所によって100〜3000倍と、放射性セシウムはどこでも検出されました。沖合い300キロのプランクトンでは、それは100倍で、こちらはヨウ素131と異なり、食物連鎖を通して魚類に蓄積する生物濃縮の可能性はかなり大きくなります。しかし同時に判明した事は、黒潮の南側で放射性セシウムがほとんど検出されなかったという点です。黒潮が拡散の境目になったという事です。
 セシウム134の半減期はほぼ2年、セシウム137は30年です。ですから太平洋から汚染がさらに広がるのに2年はかかります。西川氏は今後も注意深く監視してゆく必要がある事を述べていました。
 今回の福島原発事故で、もはや海は広いな、大きいななどと悠長な事は言っていられなくなりました。東電はいまだ世界に対して責任をとっていません。
 この海について神はこう言っておられます。
 「海は主のもの。主がそれを造られた」(詩95:5)。
 世界中の人々が共有すべき海がかつての創造時の「非常によかった」状態からはなはだしく逸脱しています。その為被造物全体がうめいています。終わりの時までそれは続くでしょう。人間の罪ははなはだ恐ろしいものです。