ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

ゴマカシの上塗り

 2012年4月6日の朝日新聞によりますと、野田政権は福井県にある関西電力大飯原発3,4号機を再稼動させる為の条件となる安全対策暫定基準案を了承したとの事です。
 大飯原発三菱重工で作ったもので、加圧水型軽水炉です。軽水つまり通常普通の水を冷却で用いる原子炉です。1991年と93年に運転を開始しました。
 ウイキペディアによりますと、柏崎刈羽、福島第一に次いで3番目に発電量が多いとあります。
 この原発は定期検査で停止していました。しかし今回野田政権は再稼動させる意図をもって、経済産業省原子力安全・保安院に僅か2日間で暫定基準案を作成させ、関係閣僚会議で決定したものです。この原子力安全・保安院は4月1日に原子力規制庁の発足により廃止される予定でしたが、政局の混迷でこの案をかけこみ作成したものです。官僚たちによる全く姑息なやり方でした。
 ですからこれが報道されると、相当な非難が一斉に巻き起こりました。4月10日の朝日の天声人語でも「規準は甘い。再稼動ありきという『靴』に合わせて、足の方を削った印象だ。クリアできるものものばかりを並べた、という声もある」という比喩的表現を使った上で、「ゴマカシの上塗りはもう御免こうむる」と踏み込んでいます。
 ギリシャ神話では天界から火を盗んで人類に与えたのが、プロメテウスでしたが、怒った最高神ゼウスは、人類に不幸をもたらす女を作るよう神々に命じたと、ウイキペディアにあります。これは聖書で男の「助け手」として女が造られたのとは違います。それで作られたのがパンドーラでした。この女性の語源はギリシャ語でパン(=あらゆる)とドーロン(贈り物、その複数形がドーラ)を合成したものから来ています。聖書では東方の博士たちが誕生されたキリストの為に携えて来たのが、宝の箱に入った「黄金、乳香、没薬」という贈り物(=ドーラ)でした。これは不幸の詰まったパンドラの箱とは対極を成します。
 そして神々はパンドラにあらゆる贈り物をし、最後に決して開けてはいけない箱をも与えました(聖書では「善悪の知識の木」とその実)。思慮を欠くプロメテウスの弟エピメテウスは、兄の警告にも関わらず彼女と結婚しました。そしてある日パンドラはその禍の箱を開けてしまいました。その為世に様々な災いが撒き散らされましたが、箱に最後に残ったのが「希望」でした。この希望のギリシャ語も聖書では多く出て来ます。特に永遠のいのちという希望です。パンドラの箱に残った「希望」は、どんな希望か曖昧ですが、聖書は明確です。
 「偽ることのない神が、永遠の昔から約束してくださった永遠のいのちの望み…」(テトス1:2)。
 天声人語ではこの「拙速と浅慮」の弟エピメテウスが、野田政権、原子力安全・保安院、関電などに適用されています。当然です。まだ福島第一原発事故原因の究明が終わっておらず、なお危険な状態が続いているからです。
 野田政権ら原発推進者たちは、「人のいのち」と「電力不足による停電の恐れ」とどちらを選択するのでしょうか。電気よりいのちのほうが遙かに大切です。
 「だから、わたしはあなたがたに言います。自分のいのちのことで、何を食べようか、何を飲もうかと心配したり、また、からだのことで、何を着ようかと心配したりしてはいけません。いのちは食べ物よりたいせつなもの、からだは着物よりたいせつなものではありませんか」(マタイ6:25)。