ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

再び牛海綿状脳症(BSE)の感染牛発見とTPP交渉

 2012年4月25日の朝日新聞には、「米で6年ぶりBSE牛」という題の小さな記事がありました。裏面で比較的詳しく記述されていました。
 米カリフォルニア州の乳牛1頭に、2006年から6年ぶりに牛海綿状脳症の牛が見つかったわけですが、それは米国では4頭目で、市場への流通はないとの事です。

 この牛海綿状脳症は俗に「狂牛病」と呼ばれ、英国で初めて見つかった病気です。1980年代まで遡るそうです。ちなみに羊では「スクレイピー病」と呼ばれています。以下は朝日の記事と、この病気に対して精力的に取り組んで来た分子生物学者の福岡伸一氏の2冊の著作、『もう牛を食べても安全か』と『プリオン説は本当か?』を元に考えて見ました。
 普通伝染する病気では病原体が見つかり、その対策が講じられるわけですが、この「スクレイピー病」「狂牛病」では、最初全く原因が分かりませんでした。羊と牛で共通していたのは、レンダリングという作業工程で出来た「肉骨粉」を食べていた事でした。英国農業省が必死で調査を進めた結果、病原体に侵された羊や牛の脳の細胞が死滅した後出来た空洞を顕微鏡で見ると、「スポンジ(海綿)状」になっていました。さらにその後これらの動物の脳に特殊な蛋白質が蓄積している事が判明しました。スタンリー・プルシナーという研究者はその蛋白質自体が病原体だと考え、「プリオン」と名付けました。しかしその正体は依然として謎のままです。
 英国では1989年〜1995年までに72万頭以上の狂牛病の牛の肉が、人間の食肉用として出回ってしまいました。そして英国ではそれによって遂に病原体が人間に移る事が判明し、世界中を恐怖に陥れたのでした。その人間の病気は「クロイツフェルト・ヤコブ病」と命名されました。
 ネットの横浜市衛生研究所報告(2001年作成、10年に更新http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/madcow1.html)によりますと、患者発生件数として、英国154人、フランス8人、イタリア1人、カナダ1人、アイルランド1人、2001年香港1人、2002年米国1人、そして2006年日本で初めて1人が確定されました。
 というわけで日本は米国を牛肉の主要な輸入国としていましたが、2003年にBSE牛が見つかってから輸入を禁止しました。しかしその後の話し合いで、この禁輸措置は、月齢20ヶ月以下に限定して正式解除されてしまいました。
 野田政権になってから、マニフェストになかったTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への加入が強引に押し進められています。その中で米国側が圧力をかけているのは、米国産牛肉の輸入制限の緩和です。これは月齢30ヶ月以下でも認めるという事です。これは今後の交渉に影を落とす事でしょう。
 なにしろ福岡氏によれば、この「プリオン」説でさえ確立しておらず、潜伏期が数年〜数十年と長く、一度発症してしまうと人間の死亡率は100パーセントになると言っています(2005年段階)。だから怖いのです。これから発症例が増えてくるであろう事は、福島での放射能被災者と基本的に同じで、生涯不安感を抱いたまま過ごす事になるでしょう。それが「想定外」ではないのは明らかで、肉骨粉という極めて危険なもの(これが真因かどうかは別として)を流通させた点で「人為的」な災害となるのは、これまた福島と似ています。とにかく危険なものから逃げる事です。米国産牛肉を避ける事が肝要です。その欲望を控えるべきです。
 「愛する者たちよ。あなたがたにお勧めします。旅人であり寄留者であるあなたがたは、たましいに戦いをいどむ肉の欲を遠ざけなさい」(ペテロ第一2:11)。