ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

生活保護費の削減を民主党が行おうとしている

 2012年8月17日の朝日新聞に、「生活保護費削減へ」という題で記事が載っていました。これは2013年度予算の概算要求基準閣議で決定した事を受けての報道です。
 公共事業費等の問題は今問いません。しかし民主党社会保障費を極力抑えるという方針で、特に「生活保護費」を標的にしています。
 こういう流れになった背景には、主として2つの問題があります。一番目は最低賃金で例えば1日8時間、週5日働き、社会保険料などを差し引いた残りの可処分所得が、生活保護水準を下回っている事です。
 しかしこれは最低賃金憲法25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という生存権に反する賃金の設定そのものが間違っているのに、その間違った水準に生活保護費を引き下げるという本末転倒の考え方を採択しているので、到底容認出来ません。
 二番目は生活保護費の不正受給という問題です。これには内田樹さんが「相互扶助と倫理」というブログ(http://blog.tatsuru.com/2012/06/08_1629.php)で、本質を突いた持論を展開しています。

 まず民法730条「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない」と言う条文解釈が掘り下げられています。それには最近人気お笑いコンビ「次長課長」の河本準一さんの母親が生活保護を受けていた事への、政治家、マスコミや世間のバッシングがもとになっています。とりわけ内田さんが批判しているのは、自民党国会議員である片山さつき氏の追及です。この人は以前雑誌でも取り上げた事のある、東大法学部卒、旧大蔵省入省という順風満帆の「お嬢さん」で、小泉首相の時郵政改革反対議員に対する対抗馬として政界入りした人です。公的制度に頼らず自助努力をし、自己責任で生活を送るべきだという、完全な自由主義者です。
 確かに暴力団関係者など不正に生活保護費を受け取っている人々はいます。しかしその数は全体からみればごく少数に過ぎません。本当に保護を求めている人々が多く存在します。しかし行政はこの民法730条を楯に、執拗な親族の調査を行っています。
 でも内田さんは「親族から援助を期待できるかどうかは、生活保護を受ける際の要件ではない。高収入の子供がいるからといって、不正、違法となるわけではない」と明確に反論しています。ただこの問題非常に複雑なので、「 ある程度公的な支援を行い、ある程度は自己努力に頼る」という、中間的な落としどころが妥当であると添えています。なるほどと思います。
 しかし内田さんが危惧するのは、身内のことは身内で始末しろ(他に迷惑をかけるな)という、公的制度からの弱者の切り離しです。かつて池田勇人首相は「貧乏人は麦を食え」と言いましたが、現野田政権は「貧乏人は死ね!」と言っているに等しいと私は考えます。ですから内田さんは「自分の取り分は自力で確保しろというリバタリアン的(=自由主義的)な考え方の「非倫理性」を強調しています。
 この生活保護問題、湯浅誠さんも真剣に取り組んでいます。貧困者は生活保護の申請の仕方まで分からず、一緒に申請まで出かけて助けていますが、日本社会に特徴的な病理としての「自己責任論」を厳しく批判しています。

 この弱肉強食の「社会ダーウイン主義」の時代、読んで下さっている比較的恵まれた企業の社員のブロガーの方々でも、いつリストラされ失業状態のまま放置されるかわからないのです。是非自分の問題として考えてみて下さい。
 「こうして公正は退けられ、正義は遠く離れて立っている。真理は広場でつまずき、正直は中にはいることもできない」(イザヤ59:14)。
 「力ある者よ。ほんとうに、おまえたちは義を語り、人の子らを公正にさばくのか」(詩58:1)。
 しかし私は生活保護水準より遥かに低くても、為政者にこう問いかけられる主なる神に望みを置いています。
 「わたしが、定めの時を決め、わたしみずから公正にさばく」(詩75:2)。