フランス最古の原発蒸気漏れ事故で廃炉という素早い決断
2012年9月6日のフランス通信社サイトでは、「フランス最古の原発事故」という題で記事が出ていました。
フランス北東部にある最古のフェッセンハイム原子力発電所で、5日貯水槽に過酸化水素水を注入した際に、水との反応で蒸気が発生し(偶発的化学反応)、酸化した蒸気が漏れ出て、従業員二人が軽いやけどを負ったそうです。
この発電所は1977年から稼働し35年が経過しましたが、その位置からしても、地震活動に弱く、洪水の危険もあって、フランソワ・オランド大統領の任期末の2017年に閉鎖する事になりました。背景には勿論福島での深刻な原発事故があった為です。放射能漏れではないとの事ですが、老朽化とライン川からの冷却水取り込み問題があります。2009年それに含まれる植物片が配管を詰まらせ、緊急停止させた事件がありました。
ライン川と言えば、その反対側はドイツ(1.5キロ)ですし、この原発はその水位よりも、何と7メートルも低いそうです。さらにスイスとの国境も近く(40キロ)、事故を起こせば、まず風の吹き方から自国より、ドイツやスイスに甚大な被害を及ぼします。
フランスは今58基の原発が稼働中で、原発依存国です。しかし福島事故を踏まえて、この原発を任期中に廃炉にするという決断を下したオランド大統領は、日本と比較した場合、一定の評価をしてもよいと思われます(同意ではありません)。さらに大統領は2025年までに24基の原発を廃炉にし、原子力エネルギーへの依存率を、75−パーセントから50パーセントに下げるとの事です(まだまだ多いには違いありませんが)。
言葉だけが踊って結局断固たる決断の出来ない野田首相に比べたら、オランド大統領は次の聖句がふさわしいでしょう。
「ですから、私たちは、もはや互いにさばき合うことのないようにしましょう。いや、それ以上に兄弟にとって妨げになるもの、つまずきになるものを置かないように決心しなさい」(ローマ14:13)。
これを文字通り解釈すると、フェッセンハイム原子力発電所がもし大事故になったら、欧州の諸々の国はつまずき倒れる事になるので、そうしたものを国境近くに配置するのは、もうやめにしようという事になります。
勿論パウロが教会の兄弟姉妹に警告の意味を込めて、霊的な事柄を述べたのは言うまでもないでしょう。
いずれにせよ、福島原発事故をどう教訓として捉えるかという点では、日本の政治家の対応は最低レベルと言えます。