ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

資本論と金持ちとうさん貧乏とうさんを結びつけた人

 図書館で『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか』という本を借りて読みました。
 著者は小暮太一氏、慶大経済学部出身で、ビジネス書作家として、経済学を極めて平易に語っています。
 題にある『資本論』は勿論マルクスの著作であり、思想の左右を問わず現代にも十分通用するものとして、最近この大部を読む人が増えているようです。『金持ち父さん貧乏父さん』はロバート・キヨサキという人が書いており、結構翻訳され売れました。
 私がこの本から学んだ事は幾つかありますが、著者の最後のほうの勧めは省略して、「はたらけどはたらけど猶わが生活樂にならざり」き私たちが知っておくべき基本だけを取り上げます。

 まず価値と使用価値という言葉の区別です。分かりやすいのは後者で、「商品やモノを使ってみて意味がある、何かの役に立つ」というのが使用価値です。
 では商品の価値はどうでしょうか?その価値は原材料を一つ一つにかけられた労力を全て合計した大きさです。例をおにぎりの価値で見ますと、ごはんの価値+具の価値+のりの価値+調味料の価値+パッケージ・ビニールの価値+労働力の価値となります。ですから「価値」と「使用価値」を間違えない事が大切です。
 そして値段の基準としては、「その商品を作るのにどれほど労力がかかっているか」という価値の大きさが決め手です。
 そこで私たちが注目すべきなのが、おにぎりの価値の最後に出て来る「労働力の価値」です。それは労働力の再生産に必要なものの価値の合計です。再生産とは一日働いてエネルギーを消費しても、翌日もまた働ける状態に回復させる事という意味になります。
 ではその為に何が必須なのでしょうか?小暮氏は大雑把に四つに分けています。1食事の価値2住宅(家賃)の価値3洋服の価値4その他の価値(携帯電話…)です。従って労働力という<商品>の値段=給料は、価値がベースになって決まるという事を踏まえるのが大切です。給料の差は「労働力の価値」の差になります。発展途上国の人件費が先進国に比べ安いのは、物価が安いので、労働者は安く生活出来る、即ち労働力の再生産コストが低い=労働力の価値が低いからという事になります。
 かくて労働者は明日も仕事をするために必要な分の給与だけしかもらっていないわけです。「頑張った」「成果を出した」からくれるのではありません。
 では会社はどのようにして利益を生み出しているのでしょうか?
 原材料は商品になっても価値は変わりありません。ではどこでか?労働の部分です。
 労働者に自分の給料以上の「価値」を生み出させる事によって、初めて「剰余価値」が生じ、それが会社の利益になるのです。
 それゆえ会社は労働者から1日働かせる権利を「買い取っている」ので、その範囲で出来るだけ剰余価値を生み出せるよう、労働者を酷使します。そこに労働者の「搾取」という言葉が出て来るのです。ワーキング・プアはその最たるものです。
 この後は実際本を読んでみて下さい。面白いと思います。
 「 貧しい者は哀願するが、富む者は荒々しく答える」(箴言18:23)。