ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

『上杉隆の40字で答えなさい』から考えた事

 DANGO3兄妹さん(http://d.hatena.ne.jp/dango33/20121016/1350399588)が上記の本の読後感を寄せておられたので、私も図書館で借りて読んでみました。
 なかなか面白かったです。40字以内でと言いますと、大学入試の国語問題を連想させますが、ここでは上杉氏が多方面にわたる問題を、うまくまとめています。それだけでなく、その解説が詳しくて参考になります。
 上杉氏は米国の一流新聞ニューヨーク・タイムズの東京支局記者の経験がありますから、報道等について、日米の違いを鮮明に浮き彫りにしています。だいたいの内容はDANGO3兄妹さんが上記サイトで紹介してくれていますので、私は別の箇所を考えてみました。

 まず冒頭で「記者クラブとは何か?」という設問を出していて、上杉氏の豊富な報道経験が生かされた的確な答えが載っています。「メデイアの情報独占機構であり、政治家や官僚に好都合な情報を流すためのフィルター」。ここで使われているフィルターという言葉をコトバンクで調べると、一定義として「各種の振動現象を対象にして,波長を異にする多くの部分振動成分の中から,特定の波長領域内の成分だけを取り出す装置」とありました。少し難しいのでネットの別のサイトを見ますと、「私たちが思い描く、さまざまな人物像、戦争の風景、事件の背景などは、そのほとんどがTV,新聞、週刊誌などのマスメディアから得た情報を基に造られているのでしょう。とすれば、権力者たちの支配下にあるマスメディアが、私たちに、意図的に、あるイメージを植え付けることなど笑ってしまうくらい簡単なことだし、今更言うことでもないくらいに、そんな洗脳は日常的に行われてきて、これからも無防備な人たちを洗脳し続けてゆくでしょう…」とあって、それが本来の意味である「濾過装置=フィルター」という事になります。記者クラブが濾過装置であるという事です。
 上杉氏によればこの記者クラブは属していないフリージャーナリスト、外国人記者、雑誌記者を排除しています。その上でこの記者クラブ内部にも「横並び体質」というものがあって、取材で作成したメモを見せ合って、それが同じかどうかを確認しているので、どのマスコミでも同じような報道を繰り返しています。これが物事を多面的に捉え、記者の主観や見識により多様な記事が生み出される米国などとは全く異なる事象です。
 上杉氏の考え方はもう長い間の持論となっていますが、この記者クラブの弊害が最も鮮烈な形で現れたのが、東日本大震災の報道でした。私たちは政府や東電の流す一方的な情報を鵜呑みにさせられ、結果として災害プラス記者クラブ濾過装置による被害を受けてしまったと言えるでしょう。
 それで私たちはもはやマスコミ報道を懐疑的に眺め、自らあらゆる情報を集め、勉強して自分なりの考え方を作り上げるようになりました。昔はディレッタントとして揶揄されて来ましたが、今は報道のプロである記者たちより、私たちディレッタントのほうが優勢になり、卑下する事もなく、堂々と論陣を張るようになってきていると言えるのではないでしょうか?
 ちなみにこの記者クラブは、国会、首相官邸、官公庁のみならず、都道府県の各機関、日銀、証券取引所、NTTなどあらゆる企業にも存在している事を知りました。これでは上杉氏の言う「権力の広報と化している」事は間違いありません。
 そして検察もまた記者クラブと協力関係を結んでいるので、記者クラブから批判を受ける事がまずありません。これが大きな冤罪を生み、内部告発を試みようとする検事は「抹殺」されます。「検察は常に正義」は成り立ちません。
 最後に上杉氏は、テレビ、新聞が生き残る方法として「『放送免許』や『記者クラブ』といった既得権益を排して、(自らを)正当な競争にさらすこと」と言っています。とにかく私たちは「健全な懐疑主義を身につけること。新聞、テレビとネットの報道を見比べてリテラシー(*能力、教養などの意味)を高めること」が大切です。
 聖書では唯一の権力者である主なる神の発する情報は、全て直截的で真実です。信仰者はそれを懐疑的に、或いは斜めに構えて読む必要が全くありません。
 「まことに、【主】のことばは正しく、そのわざはことごとく真実である」(詩33:4)。