ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

菅谷(すげのや)昭氏の『これから100年放射能と付き合うために』を読んで

 菅谷昭氏は1943年生まれ、信州大学医学部を卒業して「甲状腺専門医」として勤める一方、1976年カナダのトロント大学に留学して本格的に甲状腺疾患の基礎研究を学びました。そして帰国後1993年信州大学助教授に就任したものの、3年後に大学を辞めて、チェルノブイリ原発事故の医療支援活動の為、ベラルーシ共和国の首都ミンスクで、小児甲状腺がんの外科的治療などに取り組み、5年半滞在しました。そして帰国後まもなく松本市長の職に就き、福島で被災した子どもたちの松本市への集団移住を提言しています。

 この本もチェルノブイリでの豊富な経験を生かし、福島の子どもたちへの重要な助言や対策を述べています。
 まずこの本を読んで、今さらながらびっくりするのは、事故から5年ほど経って健康被害が急増したという厳粛な事実です。広島・長崎の原爆は一瞬、チェルノブイリではほぼ10日で一応の収束をみたものの、福島原発は現状が好転しないどころか、毎日相当な放射能を放出していると思われますが、いまだ東電ではその量を公表していません。ですから全て放射能に関わる疾患はこれからなのです。
 こう書いたもののチェルノブイリでは、事故から25年以上経過した現在でも、原発30キロ圏内と、100キロ〜300キロ圏内にあるホットスポットでは「居住禁止区域」となっています。それから「厳戒管理区域」が、「居住禁止区域」の外縁に広がり、妊婦と子どもの移住が勧められています。そして最後に「汚染区域」がやはり上記2区域の外側に広範に広がっています。それを福島原発周辺区域と比較しますと、「居住禁止区域」は原発からおよそ40キロ圏まで広がっています。飯館村の3分の1はそれに含まれます。次の「厳戒管理区域」は原発から50キロ圏、飯館村の全ての区域を含みます。「汚染区域」は原発から80キロ圏まで届き、伊達、福島、郡山、須賀川市などが含まれています。
 見逃せないのはこの最後の「汚染区域」で、ベラルーシでは多数の健康被害が出ています。
 ですから菅谷市長は、福島の汚染地域の子どもたちは皆集団疎開すべきだと提唱しているのです。
 さらに私たちは放射性ヨウ素半減期が8日である事を知っており、比較的早期に排出されるとイメージしていますが、菅谷市長によるとそれは違うという事です。つまり「ヨウ素甲状腺内循環」という事象が体内で起こるのです。ですから本に添付されたグラフを見ますと、1986年の事故から5年経過して、症例が急激に増え、10年後にピークを迎えています。
 一方原発すぐ北の「汚染地域」ゴメリ市のセシウムですと、既に低線量の被爆でも、免疫機能が大幅に低下し、赤血球数の減少も目立っています。先天性異常も毎年増えて、出産前検診で判明すると、半ば強制的に人工妊娠中絶が実施されています。
 この後菅谷市長は食べ物の事の注意点を多くの事例を挙げながら指摘しています。またチェルノブイリの経験から、「除染対策」がほとんど功を奏しないので、政府が除染したから故郷に戻るように言っても、高齢者は別にしても、子どもや妊婦は厳戒管理区域や汚染区域から出来るだけ避難したほうがよいと勧めています。
 とにかく除染したから戻れという政府の甘言に乗せられる事なく、子どもや妊婦は集団「疎開」すべきです。政府は一切責任をとらないので、自衛の為には、こうした好著を読んで自ら判断すべきですし、それも早急に行うべきです。
 聖書でも気が付かないうちに、心の汚染が徐々に進行してゆく例を述べています。
 「しみが彼らを衣のように食い尽くし、虫が彼らを羊毛のように食い尽くす。しかし、わたしの義はとこしえに続き、わたしの救いは代々にわたるからだ」(イザヤ51:8)。
 これから不幸にしてがんにかかる人々が増えてゆくと思います。その不安、死の事を思う時、主なる神に救いを求める人は幸いです。