ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

あの国会で持論を雄弁に語った児玉龍彦氏は?

 2011年3月11日東日本大震災が起きて、特に福島第一原発の事故から相当量の放射能が放出され、広範な地域が汚染されました。
 しかしこの汚染について政府の対応がはなはだ不十分であって、7月27日衆議院厚生労働委員会に東大アイソトープ総合センター長である児玉龍彦氏が出席し、熱弁を揮った事は、テレビの放映でその気魄に圧倒され、記憶している方々は多いと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=O9sTLQSZfwo

 今回図書館からその国会での証言を含む四部からなる論と、国会配布資料から成る『内部被曝の真実』を読んでみました。
 読み終えてみてこの本が意外と難しい事が分かりました。しかし得られた知見を若干述べて見たいと思います。
 まずなぜ国会に行ったか、その動機を児玉教授は「おわりに」の部で述べています。
 児玉教授は原発事故直後から高性能の測定器を車に積んで、汚染された地域特に南相馬を中心に、子どもの多い幼稚園や保育園などを調査し、得られた試料を法律違反を覚悟で東大に持ち帰り、分析を行いました。すると市場に出た牛の全てから相当な量の放射線が検出されました。そこで児玉教授は「牛の体内にセシウムがあるなら、人の体内にもあるはずではないか」と考え、暗澹たる気分に陥りました。けれども坐して眺めているわけにはゆかず、幼稚園などのどこに一番線量が集中しているか調べました。その結果を見て大変な事になると思った児玉教授は、さらに測定範囲を広げ、牛の食べる稲わらから高濃度のセシウムが出たのを受けて、政府が原発事故の全体像を把握していない事に憤激して、国会に出席し証言したとの事です。怒りと理性がぶつかり、あまりに感情的になってしまったと、児玉教授は反省しています。
 そこで第一部の国会証言の部分ですが、内部被曝の体内における集積点調査を強調しています。私はそこでレントゲン検査で用いられる造影剤トロトラストという放射性物質を知りました。これはα線を長期にわたり放出し、特に肝臓において20〜30年かけて細胞を破壊し続け(特に有名なp53というがん抑制遺伝子がまずやられるそうです)、がんや白血病を発生させる事を知りました。次に現実問題として福島で大量に放出されたヨウ素131が挙げられています。既に私たちは早くも現れた事実を知っていますが、これは小児の甲状腺に特に集中し、甲状腺がんを起こさせます。さらにセシウム137が挙げられます。これは尿管・膀胱に集中し、尿を通して外に放出されますが、その過程で膀胱炎、さらに進んでがんが発生します。このセシウムが福島の7名の母乳から見つかった事で、児玉教授は愕然とし、特に3月15日に飯館方面を襲った放射性のプルーム(*飛散した微細な放射性物質が、大気に乗って煙のように流れていく現象、同21日には私の住む松戸・柏などの東葛地域を襲いました)の測定値から、一刻も早い除染が必要だと力説しています。さらに原発20キロ圏、30キロ圏などというのは意味をなさず、もっと広範囲な地域の子どもたちを主体に避難するべき事を提言しています。
 第二部では低線量被曝の危険性(ここでp38という遺伝子の活性化ががん化に繋がるとの事です)を、チェルノブイリでの先輩の研究を引き合いに出し強調しています。
 第三部はチェルノブイリの症例から具体的な甲状腺がん発生を追っています。
 第四部はそこでの膀胱炎が扱われていますが、教授らにより「チェルノブイリ膀胱炎」(前がん状態)と命名されました。しかしこれには反論もあり、低レベル放射線障害の証明がいかに難しいか、児玉教授は嘆いています。でもそれに匹敵するセシウムが福島、二本松、相馬、いわきなどの母乳から検出され、既に膀胱がんなどの危険性も指摘しています。私たちは今後膀胱炎などの検査も、甲状腺以上に必須である事を痛感させられます。
 最後に児玉教授の最近の発言集を調べましたが、ユーチューブで見られる程度で、まだその後の研究成果が正式に発表されていません。心待ちにしています。どなたか情報があったら教えて下さい。
 私の感触では、児玉教授の主張する除染作業は、予算からみても、森も含め汚染地域ではもう不可能ではないかと考えています。11月20日のENEニュースサイト(http://enenews.com/reports-fukushima-decontamination-proving-be-futile-truth-scientifically-will-never-clean-impossible-video)で、最近知ったヘレン・カルディコット博士によるビデオがありました(http://www.youtube.com/watch?v=q09X9oHldTI&feature=player_detailpage&list=ULq09X9oHldTI#t=411s)。そこで博士は立ち入り禁止区域になっているところでの除染は無駄で科学的に不可能だと言っています。児玉教授の熱意は分かりますが、もはや子どもに限って言えば、集団疎開しかないという思いを新たにしました。なお上記サイトではスティーブン・スター博士(「社会的責任を果たすための医師団」の上級科学者)の論文も重要です(ただし英文)。
 「それからサウロは、エルサレムで弟子たちとともにいて自由に出はいりし、主の御名によって大胆に語った」(使徒9:28)。