ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

幻覚の原因を探る

 「弟子たちは、イエスが湖の上を歩いておられるのを見て、『あれは幽霊だ』と言って、おびえてしまい、恐ろしさのあまり、叫び声を上げた」(マタイ14:26)
 今緊張の高まっているイスラエルテル・アビブですが、たまたまそのテル・アビブ大学のサイトを見ていて、12年3月27日の上掲論文を見つけました。http://www.aftau.org/site/News2?page=NewsArticle&id=16341
 痴呆症(*認知症)は、認知能力の急速な喪失です。それは記憶喪失、集中力持続時間の減少、見当識障害などで特徴付けられます。アルツハイマー病はその重篤な疾患です。お年寄りに対するその治療はなかなか困難です。
 大学の研究者たちによれば、痴呆症にかかった人は、しばしば妄想といった症状緩和の為に、向精神薬を処方されます。でもそれはよくなるどころか害をもたらすと、コーヘン教授は言っています。痴呆症患者が経験する妄想の多くは、合理的な根拠があるかも知れないという事です。ですから薬ではなく、行動療法による治療法のほうが効果的だそうです。

図はhttp://wakameya.jugem.jp/?eid=211よりお借りしました。私の母の場合とそっくりで。 
 研究者たちは妄想に関する6つの一般的区分で調べてみました。その中には見捨てられるという恐怖、患者の所有物が盗まれているという疑惑、自分の住まいにいないという感覚などが含まれていました。既に痴呆症の診断を受けていた74名の大人が9つの養護施設から参加しました。
 研究者たちはまず日々その患者たちと意思の疎通がある看護師や養護施設の職員らを含む介護者たちに質問をしてみました。患者の精神状態、行動の病的状態、過去のトラウマ(心的外傷)の出来事、妄想が現れる状況などを含む内容でした。そしてそれらについての診断をしました。
 すると介護者が述べた妄想には、論理的説明が出来る割合が相当大きい事を発見しました。その中には、かなり早い時期に受けたトラウマが再び生じた結果でもあった事が判明したものもありました。
 ですから痴呆症患者の妄想は、彼らが生きている現実の反映(表われ)として説明出来るという事になりました。自分の住まいに居ないと感じている患者は、養護施設は自分の住まいの定義を満たしませんから、愛する者たちから切り離されたという不安が生じる事になり、それは合理的答えとなります。妄想を精神障害と特徴づけるなら、重篤な精神病の区分の中に置かれてしまいます。それは不適切である事が多いのです。ですから介護者は薬物療法を止め、患者の背景を考慮して、共に作業する方法を工夫すればよいという事になります。
 結論として、痴呆症のある人々において、妄想は精神病の定義と実際合わず、その人々の行動をさらに良く分析すれば、共感、理解、もっと情味豊かな、哀れみ深い処置が促されるだろうと研究者たちは言っています。
 実は私の母親がかかった妄想は、次のような事がきっかけだったように思います。
 「ある身体症状に対し不安を抱くと、その身体部に注意が集中し、その部分の感覚が敏感になって身体症状がますます助長され、また不安を生じるという悪循環に陥る…生理的な心悸亢進を病的な状態と誤認してしまって不安感を高め、ついには発作をおこしてしまう」(http://www.fuanclinic.com/p_plaza/kurasi12.htm)。
 ですから母は1965年過労から狭心症にかかり、とても苦しみました。その時から、誰かがそばにいないと、すぐ発作を起こしてしまいました。その為私は母が召されるまでずっと見守って来ましたが、かかりつけ医の見たアルツハイマー病とはどうも違う、その薬を処方されても一向に効かないという経験をしました。最期まで痴呆症らしからぬ行動もしていました。私が上記論文を知っていたら、もっと違った対処が出来たのにと痛恨の思いです。