ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

勝てないアメリカ

 「そこで彼らは民の糧食と角笛を手に取った。こうして、ギデオンはイスラエル人をみな、それぞれ自分の天幕に送り返し、三百人の者だけを引き止めた。ミデヤン人の陣営は、彼から見て下の谷にあった…そこには、ミデヤン人や、アマレク人や、東の人々がみな、いなごのように大ぜい、谷に伏していた。そのらくだは、海辺の砂のように多くて数えきれなかった」(士師7:8,12)。 
 岩波新書『勝てないアメリカ』(大治朋子著)を読みました。
 米国はベトナム戦争で勝利する事が出来ませんでした。軍事大国が小国北ベトナム南ベトナム解放民族戦線に負けました。その教訓を米国は学ばなかったのか、またまたイラクアフガニスタンといった小国に挑み、イラクは2011年かろうじて終結宣言を出す事が出来たとはいえ、まだまだ政情不安が続いていると言われています。ところがアフガニスタンについては、戦況はベトナム戦争と同じようで、米軍は今とても勝ち目はなさそうです。そのあたりを気鋭の毎日新聞記者大治氏がルポし、1冊の本に纏めました。
 米国が「テロリスト集団」と呼ぶアフガンのゲリラたちは、IED(即席爆破装置で路肩爆弾、道路脇爆弾、路上爆弾などとも呼ばれています)という低い技術で作った兵器を用いて、高度な技術を持つ米軍に果敢に挑んでいます。それでこの低い技術兵器は強い殺傷力を持ち、たとえそれで死ななくても、頑丈なヘルメットを被っていても、目に見えない外傷が頭に出来て、長く苦しむ事になります。このIEDについては過去に触れた事があります(http://d.hatena.ne.jp/hatehei666/20100811/1281498193)。それはちょっとした工夫で誰にでも出来るそうです。
 左図はhttp://holyland.blog.so-net.ne.jp/upload/detail/m_IEDoates.jpg.htmlより拝借。
 塩素酸カリウム硝酸アンモニウム農薬を原料にして作りますが、農業、道路工事など有用な分野に広く用いられているので、取り締まりが難しいですし、探知もまた難しいです。この為米軍の死者数が著しく上昇しました。かろうじて助かった人の場合ですが、爆発の衝撃にも耐えられるヘルメットがかえって災いし、外傷性脳損傷(TBI)を引き起こし、同時に心的外傷後ストレス障害(PTSD)も併発する為、今米国ではその治療の為、深刻な事態を迎えています。いまだその真の原因が把握出来ていませんし、その治療の費用も馬鹿になりません。戦死者の増加と相俟って反戦厭戦気分が広がっています。また帰還者たちの自殺や精神的異常も増えています。
 そこで国防総省はマスコミへの情報を極力カットし、IEDに対するさらに高性能な戦車などの開発に努め、アフガン現地での治安の維持と、一般の人々をゲリラから引き離そうとしていますが、いずれも効果が出ていません。ルポした大治さんの装甲車もIEDにやられ、全員無事だったものの、それは大破して使いものにならなくなりました。アフガンではイラクと同じ戦略や戦術は不可能です。
 そこで一人の死者も出さない為に、米国本土にいて衛星を使いながら遠隔操作出来る無人機の活用を国防総省は図っています。

 左図は無人戦闘機リーパー。ミサイル4個爆弾2個が搭載出来ます。
 それにより、アフガンでは従来の地上戦などが無くなろうとしています。戦争の形が全く変わりつつあります。自宅から米国の空軍基地に通うだけなので、死者はまったく出ません。
 ところがこの無人戦闘機、極秘にされてはいますが、大治氏のインタビューでは結構誤爆が多く、無実の人々が多く殺されています。操作している人が「ゲーム感覚」だからという事もあります。
 しかしそれでは現地アフガンの被害に遭った人々を怒らせ、反米感情を激化させるだけです。ゲリラ側も対抗措置をとるようになりました。無人戦闘機が米国ほど高度でなくても、イランなどから購入出来ます。今日本も含め世界中で開発にしのぎを削っているからです。
 こうした戦闘形態を積極的に進めているのが、他ならぬノーベル平和賞受賞のオバマ大統領です。アフガン撤退は見かけだけだと思います。しかし現地の人心を掌握出来ないこの戦い、又しても米国が完全に敗北するのは目に見えています。