ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

TPP(環太平洋経済連携協定)におけるISD(国家対投資家の紛争処理条項)の危険性を声高に訴えよう

 「ヒゼキヤの言うことを聞くな。アッシリヤの王はこう言っておられるからだ。私と和を結び、私に降参せよ。そうすれば、おまえたちはみな、自分のぶどうと自分のいちじくを食べ、また、自分の井戸の水を飲めるのだ」(イザヤ36:16) 
 nice100showさん(http://d.hatena.ne.jp/nice100show/)の精力的なTPP反対への勧めで勉強をしていますが、今度の『よくわかるTPP38のまちがい』(鈴木宣弘・木下順子著)(農文協)も、本当によく分かります。48の項目について質問に対する丁寧な答えが載っています。嬉しい事に付録として締結された米韓FTA(=自由貿易協定)の細かな規定も記載されていて、私たちはそこからも、TPP締結に至った場合の悲惨さを学ぶ事が出来ます。
 TPPは、米国と日本を含むアジア諸国との互恵的な貿易協定と捉えている人々がいますが、それは大きな間違いです。米国自身が「対中国包囲網」だと言ってはばかりません。ですから中国は勿論、韓国、インドネシア、タイなども参加の意思を表明していません。そこに日本が参加するなら、アジアは分断化されてしまいます。
TPP参加国(時事通信社の画像をお借りしました)
 そしてTPPは「アメリカ主導の極端な市場至上主義が持ち込まれ、アメリカの利益に基づいて原則的にすべての関税及び非関税措置が撤廃される」という恐ろしい貿易自由化協定です。
 それに先立ち米韓FTAが締結されましたが、この本の付録にあるように、それは全く米国主体であって、韓国にとって極めて不利な「不平等条約」である事が分かります。そして米国はこの米韓FTAが強化されるのがTPPであると考えて参照して欲しいと述べていますが、それこそTPPの悲惨さを予測させるものとなっています。
 東日本大震災と長引く不況で、懸命に復旧復興しようとしている農村・漁村などの人たちに対して、経済界などはTPPを通して新たな「開国」を提唱し、極めて痛い肘鉄を食らわせようとしています。ナオミ・クラインが「ショックドクトリン」又は「災害資本主義」「市場原理主義改革」(=火事場泥棒)と言っている事柄が、実際生じようとしています。1945年原爆を落とされた日本が極端に疲弊している時の米国による日本の支配はまさにそれでした。
 そして日本がこのTPPに参加する為には、米国議会の承認を有します。そこでは農業だけでなく、医療、郵政その他日米間懸案事項が徹底して協議され、結果として日本がそれらを全てやりますと言わなければ、交渉参加自体が承認されません。逆に一旦承認されてしまうと、後で交渉による例外を確保したり、途中離脱する事が不可能になってしまいます。
 そしてこの交渉締結が成立したとしますと、もはや細かい規定でISD(国家対投資家の紛争処理条項)というものが入って来ます。私はこれが危険なTPPの最たるものとみています。それは「外国の企業や投資家がビジネスの障壁となる制度の廃止などを求めて、相手国を訴えることができる条項」です。その紛争解決の訴えは国際投資紛争解決センターという所に提出しますが、それは世界銀行の傘下にある機関です。そしてその世界銀行の総裁は米国出身者がなる慣例がありますから、当然裁決は米国川の勝訴となる事が予想されます。
 実際ISDが発動されたのは、4年前で300件以上となっています。
 例えばカナダケベック州政府は芝の除草剤の販売と使用を禁止した為、米国のダウ・アグロサイエンス社が訴え、200万米ドルの支払いを求めています(係争中のよう)。また米投資ファンドローンスターは、韓国外換銀行売却に関連し、韓国政府の対応により損失が発生したとして、遂に昨年12月近くに提訴しています(賠償額は不明数千億米ドル?)。
 この訴訟米国投資企業など負ける事もあるようですが、勝訴の方が圧倒的に多いようです。これについて最近よく登場する孫崎享氏も「全国民への警鐘急務」と一か月前に語っています。米国のアメと鞭、良く見て反対しないと大変な事になります。
 既にブログ仲間の方々がこのISD条項に注目しておられます。その危機感を共有出来て嬉しいです。