ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

世界一を目指すという人間の傲慢さ

 「王よ、いと高き神はあなたの父ネブカデネザルに国と権勢と、光栄と尊厳とを賜いました。彼に権勢を賜わったことによって、諸民、諸族、諸国語の者はみな、彼の前におののき恐れました。彼は自分の欲する者を殺し、自分の欲する者を生かし、自分の欲する者を上げ、自分の欲する者を下しました。しかし彼は心に高ぶり、かたくなになり、ごうまんにふるまったので、王位からしりぞけられ、その光栄を奪われ」(ダニエル5:18−20)。
 1月10日の朝日の記事はアラブ首長国連合のうちのドバイを取り上げていました。「ドバイ流2位じゃダメ」という題でした。このドバイ首長国ムハンマド首長は、「世界一になりたい」という願いを繰り返しています。そして有名な世界一の人工構造物「ブルジュ・ハリファ」(全長828メートル)が、既に完成しました(これについては既に触れた事があります)。そして床面積が東京ドームの約12個分に相当するドバイ・モールも出来ました。

 さらにホテル、ビルなど世界一が3つ続き、それでも足りずにさらにドバイ・モールを上回るものを建設し始めたようです。
 かつて民主党内閣の時、蓮舫議員が「2位じゃダメなんでしょうか」と発言した事で有名になりましたが、ムハンマド首長は、「2位なんて誰も知らないからだ」と言ったそうです。
 ところが日本では安倍政権になると、まず1月12日スーパーコンピューター研究施設視察後、「やっぱり世界一を目指さないとダメ」と発言しました。1月25日になると、教育再生実行会議の席上で、「世界トップレベルの大学」の育成を目指すと言いました。
 そして1月29日に発表された所信表明演説の中では、「最も大切なのは、未知の領域に果敢に挑戦をしていく精神です。皆さん。今こそ、世界一を目指していこうではありませんか」などと豪語しました。

 この安倍政権の一連の政策をアベノミクスと呼んでいますが、その内容はnankaiさん(http://d.hatena.ne.jp/nankai/20130121)が喝破しておられるように、日本版「ショック・ドクトリン」(=災害時におどして、冷静に考えられないようにしておいて、弱肉強食のむきだしの資本主義を拡大する手法)です。福島県民はいまだ原発災害の困難の中から抜け出す事が出来ず、このドクトリンで潰されようとしています。原発を一刻も早く止める事による経済再生ではなく、かえって推進しようとしているからです。また小泉内閣の頃から顕著になり出した生活困窮者の群れ(滑り台から脱却出来ない人々)を、さらに困窮化させる生活保護費の引き下げが断行されようとしています。消費税増税による高齢年金生活者の、そして生活ギリギリの労働者たちのさらなる貧困化を推進しようとしています。TPP推進による日本の農家、中小企業の潰しと米国大手企業の参入もそうです。要するに弱肉強食剥き出しの資本主義は、言い換えると社会的ダーウィン主義であって、この災害や不況で弱っている、最適者生存主義からこぼれ落ちた人々の淘汰です。最後のセーフティネットをターゲットにした事は、この淘汰をさらに促進するでしょう。ビンボー人はこの際死んでもらい、活力ある中間層以上の富裕な人々だけで、日本を世界一に持って行こうとする思想です。
 しかし上記聖書は何と言っていますか。神無き人間の高慢さ・傲慢さです。バビロントップの王ネブカデネザルは心の高慢さゆえに、その王位を追われ、その栄光は奪われました。その子ベルシャツァルも「天の主に向かって高ぶり」、速やかに部下たちによって暗殺されました。
 「だれでも、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされます」(マタイ23:12 )が、聖書全体を通し一貫して流れている思想です。世界の首長たちも、日本の安倍首相も、人間同士のいたわり合いや共生を標榜する事なく、高慢さをむき出しにした為、遠からずその座を追われ、その栄光は失墜するでしょう。