ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

一つの嘘は多くの嘘を生む

 「悪者は自分の咎に捕らえられ、自分の罪のなわにつながれる」(箴言5:22)。
 2013年2月7日の朝日新聞では、「東電、国会事故調に虚偽」という見出しで、その詳しい経緯を記していました。
 それによりますと、解散した国会事故調査委員会に所属していた田中光彦氏(元原子炉設計技術者)等」は、爆発のあった福島原発1号機の4階に据え付けてある非常用復水器を詳しく調査しようとしましたが、東電の玉井企画部部長(当時)らがそれを阻止すべく、中は真っ暗で放射線量も多く、極めて危険であると、国会に出向いて訴え、遂に田中委員らによる調査を断念させたという事です。左画像田中氏。

 なぜ東電側はそのように必死になって断念の訴えをしようとしたのでしょうか?それは1号機の炉心損傷は、そこに至る複雑な配管のうちの幾つかが、「地震による破壊」を契機としたものかどうかを巡り調査されると、極めて不都合な事態に陥るからだったのでしょう。つまり福島原発事故は「津波」により電源が失われ、原子炉の冷却機能が喪失したことが原因という従来の主張が、崩される可能性があったからです。
 ところが東電側はこの説得作業で、現場に立ち入らせない事に成功すると、その後全くガードが甘くなり、何と自ら撮影した映像を日付まで入れて、ホームページで公開してしまいました。
 それを分析した田中元委員らは、日付の前後関係がおかしい事に気づきました。それはどういう事かと言いますと、まず東電はこの1号機の放射性物質の拡散を防ぐ為、事故から7か月後建屋天井を覆うカバーを取り付けましたが、実はそのカバー、自然光を10〜16パーセント通す事の出来るものでした。しかもそこには10個もの極めて明るい照明が付けられていました。東電はそうした明るい状況で、映像を撮影していたのです。カバー設置から4日後、2011年10月18日の事でした。撮影日付が決定的証拠となったのです。しかし4か月後東電がこの映像を見せながら事故調に説明した際、これはカバーで覆う前の撮影だから明るいが、覆った後の今、中は真っ暗で危険だし、配管なども見えないなどと真っ赤な嘘の説明をしたのです。
 それからおよそ8か月後の2012年10月中旬、田中光彦氏は、東電説明の矛盾に気が付きました。そして今年1月朝日記者は、そのカバーにちゃんと照明がついている事に気づきました。

 おそらく東電はこれまでも嘘をつきっぱなしでしたが、それだけ嘘が重なると、真実も嘘もごたまぜになり、遂には自らも分からなくなってしまっているのではないですか。ですから東電広報部は、「設置前に撮影された動画と誤認していた」などと、平気で釈明しています。そして「何らかの意図を持って虚偽の報告をしたわけではない」などと言って、しゃあしゃあと切り抜けようとしています。
 事故からまもなく2年になろうとしていますが、この東電の体質は全く変わっていません。この国には十戒にある「あなたの隣人に対し、偽りの証言をしてはならない」という教えが浸透していませんし、残念ながらこうした規範は幼少の時から繰り返し徹底して教えていなければ、誰でも大人になって平然と嘘をつき恥じるところを知りません。むしろ東電は「あなたの隣人に対し、偽りの証言をしなければならない」という事が「社是」となっているようです。