ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

空腹が記憶力をアップする

 「あなたがたは、わたしのしもべモーセの律法を記憶せよ。それは、ホレブで、イスラエル全体のために、わたしが彼に命じたおきてと定めである」(マラキ4:4)。
 2013年1月25日のナショナルジオグラフィック ニュースサイト(日本語」を見ていたら、「空腹が記憶力をアップ」という題で、論文紹介がされていました。研究したのは東京都医学総合研究所や首都大学東京などの研究チームです。
 彼らは空腹状態になると記憶力が増加する仕組みを、ヒトの記憶メカニズムと共通性をもつショウジョウバエを使った実験で明らかにしました。

 この記憶力増加は長期記憶となります。それに必要なたんぱく質がありますから、まず用語(英語略語)を整理しておきます。
 長期記憶…LTM
 長期記憶で必要なたんぱく質…CREB=<cAMP(=環状アデノシン1リン酸)応答配列結合タンパク質>
 CREBが機能する為必要なたんぱく質…CBP=CREB結合たんぱく質
         〃             …CRTC=CREB転写活性化抑制たんぱく質
 発見のきっかけは以下の通りです。ショウジョウバエの「嫌悪学習」(1つの匂いと電気ショックを同時に与えて、その匂いが嫌いになる事を学習)では、何度も繰り返し復習させると、長期記憶として残りました。一方「報酬学習」(1つの匂いと砂糖水を与えて、その匂いが好きになる事を学習)では、1回の学習で長期記憶として残りました。後者の実験の際、たまたまショウジョウバエは空腹の状態でした。これがヒントになりました。
 つまり空腹状態が「報酬学習」で長期記憶に関与するなら、その状態で「嫌悪学習」させても、同じように長期記憶として残るのではないかと。結果は予想通りで、9〜16時間空腹の状態の時が一番記憶しやすく、満腹状態の2倍にもなりました。
 長期記憶の仕組みでは上記CREBが必要です。それが機能する為にはさらにCBPとCRTCが必要です。
 実験では、満腹時の複数回の学習による長期記憶にCBPが重要である事が分かりました。一方空腹時の1回の学習による長期記憶にCRTCが重要である事が分かりました。
 もっと詳しく見てゆくと、満腹時ではCRTCはインスリンによって核外の細胞質に抑制されているので、長期記憶形成に関係しない事が分かりました。空腹時ではインスリン分泌量が少ないので抑制が外れ、CRTCが核内に移動してCREBと結合し、1回の学習で長期記憶が作られました。

 さらに空腹状態といっても様々ですが、「適度な空腹状態」が長期記憶に繋がり、「過度の空腹状態」では、食べ物の報酬記憶だけが長期記憶に繋がる事も分かりました。ショウジョウバエの長期記憶は、空腹の程度に依っているという事です。
 ちょっとややこしかったですが、私たちは日常生活で何かを長く覚えておきたいと思う時は、適度の空腹状態である事が一番という事が実験から推察されます。満腹では記憶が長くもたないという事です。眠くなりますしね。