モンサント社、種の特許を守る為小規模農家訴える
「地は植物、すなわち種を生じる草を、種類にしたがって、またその中に種がある実を結ぶ木を、種類にしたがって生じさせた。神はそれを見て良しとされた」(創世:12)。
2013年2月12日の英国ガーディアン誌サイトでは上記の題で記事を寄せていました。
世界の種子の商業市場の53パーセントは、たった3つの会社に支配されています。即ちモンサント、デュポン、シンジェンタです。そのうちのモンサント社は生産・販売している遺伝子組み換え種子の特許権を守る為、近年数百の小規模農家を相手取って(賠償)訴訟を起こしています。
写真はガーディアンサイトから。畑にMの文字と駄目を意味する斜め線が見えます。
モンサント社は米国の27を越える州から、410の農家、256の小企業を相手取り、142の特許違反訴訟を起こし、標的にした野家などから2千3百万ドルもの賠償額を勝ち取りました。しかし1軒の農家が抵抗し、今月後半最高裁で裁決が出されますが、勝てば画期的なものとなります。
現在遺伝子組み換え種子からの農産物で見ますと、米国で93パーセントの大豆、86パーセントのトウモロコシに見られ、圧倒されるほどになっています。
訴えているのはインディアナ州の大豆農場主ヴァーノン・ヒュー・ボウマン氏(74歳)です。氏は2007年にモンサント社から訴えられ、2009年には連邦地裁で、モンサント社に対する損害賠償と裁判費用として計84,456ドルを支払うよう命じられました。同氏は上訴したものの、2011年9月に敗訴した為、さらに最高裁に上訴していました。
この訴訟内容ですが、氏は使用制限のない第三者(地元の穀物の貯蔵施設カントリーエレベーター)から、栽培の為の一般の種子を購入しました。ちなみにカントリーエレベーターですが、ネット情報ではカントリーは農村、エレベーターで種子をサイロへ運ぶので、そう呼ばれているそうです。
写真右はインディアナ州のカントリーエレベータの一つ。
そこの種子はモンサント社の大豆用ラウンドアップ・レディー種よりずっと安く購入出来ます。
ボウマン氏は以前に同社が特許権を保有する種子を購入した事がありますが、特許契約に従い、将来の栽培用にその種子を取っておく事はしていませんでした。しかしモンサントは特許で保護された種子が混入していたとして訴えたのです。
氏は晩期栽培で得た一般種の種から、その後の二番作でも使用していましたが、そこに混入していたようです。しかし氏は特許侵害に相当しないと主張していました。たった一人の反乱、今最高裁で審議が行われていますが、その裁決に注目したいと思います。
この訴訟では、特に大豆のように簡単に自己複製する製品に関して、商取引の流れ(この例では、農業のサイクル)のどこまで企業が特許権を主張できるかという問題が扱われる事になります(やはりネット情報より)。
モンサント社は敗訴すると、広範囲に及ぶ研究と、特許に頼る企業は脅威にさらされると主張しています。
今日本で活発な論議が行われ、その動向が注目されているTPP加入交渉ですが、実際加入国になると、こんな事が起こり得ます。訴訟に次ぐ訴訟で、日本の小農家は容易に潰されてしまうでしょう。